事実上、エンゼルス大谷翔平投手(29)の今季残留が決まりました。8月1日(日本時間2日)のトレード期限を前に、エンゼルスがワイルドカード争いに向け、いち早く戦力補強に成功しました。
7月26日にホワイトソックスから先発右腕のルーカス・ジオリト(28)、救援右腕のレイナルド・ロペス(29)の両投手をトレードで獲得。さらに先ほど、30日(同31日)にもロッキーズからランデル・グリチェク外野手(31)とクリストファー・クローン内野手(33)の中距離砲2人をマイナー選手とのトレードで獲得。「買い手」として積極的に動いており、大谷を変わらず投打の軸に据えながら、プレーオフ進出を目指す意思を明確にしました。
ホワイトソックスのエース格だったジオリトは、198センチの長身から投げ下ろす本格派。2018年からコロナ禍で短縮シーズンだった2020年を除き、昨季まで4年連続の2桁勝利をマーク。5年連続で規定投球回をクリアする“ワークホース”でもあります。さらに20、21年にはプレーオフ経験もあります。
一方、ロペスは2019年まで先発投手。2019年からブルペンが主戦場となり、最速100マイル(約161キロ)の剛速球で投球回とほぼ同じ奪三振数を誇ります。エンゼルスにとってはともに、大きな戦力補強となりそうです。
特に、トレード期限に獲得する投手で重要なのは、剛腕タイプであること。ホワイトソックスでは今季、ジオリトは防御率3・79、121投球回で131奪三振。ロペスも被打率2割1分3厘、42投球回で52奪三振。ともに相手を力でねじ伏せるパワーピッチャーです。
さらに、最近とシーズン後半戦の両成績も成功のカギを握ります。今季ジオリトは6月6日以降、9先発中7試合で自責点は2以下。ロペスも直近24試合の防御率が1・75の好成績。さらに、ここ数年はともに後半戦の成績がいいので、移籍後の活躍も期待出来ます。
エンゼルスがブルージェイズ戦の連敗を止めた30日の試合後にも、野手2人の獲得が明らかになりました。グリチェクはメジャー10年で通算183本塁打、今季は64試合で打率3割8厘、8本塁打、27打点。7月は15試合で6本塁打、OPS1・137と絶好調です。クローンも同じくメジャー10年で通算186本塁打。今季は56試合で11本塁打、32打点。昨季はオールスターに初選出され、29本塁打、102打点をマーク。25本塁打以上のシーズンが4度あります。
ともに右の中距離砲で、同じくエンゼルスにドラフト指名されて入団した縁があり、トラウト復帰まで大谷の後を託すことができる強打者です。ちょうどテーラー・ウォード外野手(29)が複数箇所の顔面骨折により、負傷者リストに入ったタイミングでの願ってもない補強になりました。
とにかく、トレード期限の戦力補強は重要であり、GMにとっても最大の腕の見せどころです。なぜなら、この時期のトレードで世界一が決まると言っても過言でないからです。最近では、2021年にブレーブスがトレード期限前に外野手4人を獲得。8月15日に首位浮上し、4年連続地区優勝。さらに、ポストシーズンでも彼らが活躍し、世界一となりました。
そういう意味で、エンゼルスの補強にも期待したいところです。チームにどういう波及効果をもたらすのか、どのような化学変化を起こすのか注目したいところです。
それでも、エンゼルスが厳しい状況にあることは変わりません。8月は強いチームとの対戦カードばかり。すでに7月28日からのワイルドカードを懸けたブルージェイズとの直接対決に始まり、10カード中9カードが勝率5割以上のチーム。しかも、今季のエンゼルスは勝率5割以上のチームに苦戦しており、なおさらワイルドカード争いを勝ち抜くのは容易ではありません。
ホワイトソックスからジオリト、ロペスの両投手を獲得したとき、ナショナルズから強打のジェイマー・キャンデラリオ三塁手(29)獲得のうわさもありました。また、7月29日にメッツのマックス・シャーザー投手(39)が先発した試合で、ネット裏にエンゼルスのスカウトがいたという情報もありました。シャーザーは結局、同地区首位のレンジャーズに移籍しました。期限最終日まで「商談」は絶えず、「ブロックバスター(超大作)」と表現される大型トレードも、真夏の風物詩です。
エンゼルスも果たして、日本時間8月2日午前7時まで、新たな駆け込み補強はあるでしょうか? そして、サバイバル日程を勝ち抜くミラクルは起きるでしょうか? 大谷が望む「ヒリヒリする9月」を迎えるためにも、戦力を再整備して臨む「夏の陣」を制することができれば、オフの去就にも神風が吹くかもしれません。(大リーグ研究家・福島良一)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




