ドジャース大谷翔平(24年2月撮影)
ドジャース大谷翔平(24年2月撮影)

いよいよ、メジャー史上初の韓国開幕戦が近づいて来ました。20、21日に韓国の首都ソウルにある高尺スカイドームでパドレス-ドジャース2連戦。ドジャース大谷翔平投手のデビュー戦でもあります。

メジャーは野球の国際化、世界戦略のため市場拡大に取り組んでいます。特に、1995年ドジャース野茂英雄投手の活躍をきっかけに市場拡大が本格化し、2000年以降5度にわたって日本で開幕戦が行われて来ました。

また、最近は「ワールドツアー」と銘打ち、世界各地で公式戦を開催。その一環として今年はアジア圏の人気拡大を目指し、日本に次いで野球が盛んな韓国で、初めて開幕を迎えることになりました。メジャー機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーは「大谷の初戦でもあり効果は絶大。人気拡大の起爆剤になる」と強調しています。

そういう意味でも、やはり最大の注目は、韓国でも人気NO・1のスーパースター大谷です。今年は右肘手術のため打者に専念し、2年連続ホームラン王に挑みます。ただし、昨年までア・リーグのエンゼルスに所属していたためパドレスとの対戦は少なく、通算12試合で打率1割3厘、1本塁打だけ。特筆すべき成績を残していません。

ちなみに、メジャーでの開幕戦を振り返ると、18年デビュー1年目に最初の試合第1打席でいきなり初球を右前打。21年は第2戦、昨年は第3戦で本塁打を放ちましたが、開幕戦のホームランはまだありません。それだけに、韓国で歴史的な第1号ホームランを期待したいところです。

力投するパドレス・ダルビッシュ(2024年3月撮影)
力投するパドレス・ダルビッシュ(2024年3月撮影)

パドレスの開幕投手はエースのダルビッシュ有投手です。日本人最多タイとなる2年ぶり4度目の大役となり、今回はいきなり1回表に、2番打者の大谷との初対決が実現しそうです。

メジャー13年目のダルビッシュはドジャースに対し、通算12先発で4勝5敗、防御率2.38。ただし、対戦相手に関係なく初回の防御率は4.03と悪く、44本塁打も喫しています。相手の強力打線を抑えるために、立ち上がりが大事かと思います。そういう意味でも1~3番の「MVPトリオ」は要注意です。

翌日の第2戦は、ドジャース山本由伸投手が先発デビューの予定です。メジャー投手史上最高額の12年3億2500万ドル(約455億円)で契約した日本のエースが、主砲マニー・マチャド、フェルナンド・タティスらを擁する強力打線相手に、どんなピッチングを見せるか楽しみです。

それとパドレス1年目を迎える救援左腕・松井裕樹投手の登板はあるのか? 相手のドジャース打線は大谷、フレディ・フリーマンら左の強打者が多く、ゲーム終盤の大事な場面で起用される可能性が十分ありそうです。いきなりデビュー戦で大谷との対決があるかも知れません。

今回はパドレスの韓国出身選手2人の凱旋(がいせん)試合となります。まずは20年オフにパドレスと4年契約して以来、攻守に活躍し、昨年はユーティリティー部門で初のゴールドグラブ賞に輝いた金河成(キム・ハソン)遊撃手。今年のキャンプで二塁からショートへ転向。地元のヒーローが大谷のお株を奪うような活躍を見せるかにも注目です。次に、今年1月にパドレスと2年契約した高佑錫(コ・ウソク)投手。韓国プロ野球のLGツインズ時代7年間で通算139セーブを記録。昨年3月のWBC直前には、大谷へ死球をにおわせるような発言で波紋を呼んだだけに、大谷との対決に注目が集まりそうです。

他にも、今年こそワールドシリーズ優勝を目指すドジャースに対し、打倒ドジャースに燃えるパドレスの同地区対決は見どころいっぱい。歴史的な韓国開幕シリーズでどんな名勝負や名場面が生まれるか楽しみです。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)