世界的な流行が起こっている新型コロナウイルス。アメリカも例外でなく既に感染者数は100人を超えている。マリナーズの本拠地シアトルがあるワシントン州キング郡では高齢者施設を中心に7人の死者が出、地元住民の間では区域の移動制限が行われるのでは、という不安が広がっている。またヤンキースとメッツの本拠地ニューヨークでも感染者が見つかり、現在約1000人が自主的な隔離生活を要請されている状況だ。日本と同じようにトイレットペーパーやティッシュの買いだめ騒動まで起こっているという。

その影響はMLBにも及んでいる。スポーツ専門局ESPNなど複数のメディアは現地3日、MLBが疾病管理センター(CDC)および保健福祉省(HHS)に相談したうえで、全チームにガイドラインを通達したと報じた。それによれば選手がサインをする際はファンからボールやペンを受け取らない、握手の回避といった具体的な策が示されたという。また全選手にインフルエンザを含めあらゆる予防接種の実施、フロントオフィスが地元の感染症専門家に相談しスタジアムやチーム施設の衛生管理徹底等が伝えられたとしている。

一方でオープン戦やレギュラーシーズンの試合の中止や延期は予定していないが、この課題に対する臨時組織を設置して対応にあたることも示されたということだ。

各チームも以前から対応に迫られてきた。レッドソックスは2月に台湾出身の劉致榮投手をホテルに一時隔離する措置をとった。3日、韓国出身でレイズのチェ・ジマン外野手はインタビューをクラブハウスの外で行っている。同じく韓国出身のキム・グァンヒョン投手に対し、カージナルスが「スプリングキャンプやオープン戦に訪れる韓国ファンと取材陣に対応するために、新型コロナの予防措置に出た」とも地元紙セントルイス・ポスト・ディスパッチが報じた。ジョン・モゼリアク野球部門社長は「我々はこの問題を非常に重く捉えている。スプリングキャンプに訪れる人々が手を洗うように誘導しており、適切な方策を見つけるために努力している」とコメントしたということだ。

さらにパイレーツはフロリダ州ブレーデントンのスプリングトレーニング施設で徹底した消毒作業を行ったことを発表している。消毒用マシンを使用し、クラブハウスはもちろん、、オフィス、プレスボックス、スイートボックス、ダグアウト、飲食スタンドまで消毒したということだ。さらに4日に選手たちとの会議を行い、今後安全に向けた作業手順を策定する計画を立てることを決めている。

ただ感染の拡大が続いている状況で、今後さらなる影響が出てきそうだ。