ノーヒットノーランを達成することは投手にとっての偉業の1つだ。今シーズンではパドレスのジョー・マスグローブが4月9日にレンジャーズに対しチーム史上初の、4月14日にはホワイトソックスのカルロス・ロドンがインディアンスに対し達成している。その一方で無安打無得点で試合を終えながら公式記録でノーヒットノーランと認められない珍事が起こった。

25日のダイヤモンドバックス対ブレーブス戦だ。ダイヤモンドバックスのマディソン・バムガーナーが先発し、安打も四球も出さず、7つの三振を奪い、2回にはエラーで1人の打者に出塁を許しただけで試合を終えたのである。それなのにノーヒットノーランと記録されなかったのだ。その理由はこの試合がダブルヘッダーの2試合目だったためである。

コロナ禍で昨年採用されたダブルヘッダーのルールでは1試合7イニング制となっており、この試合も7イニングを終え7-0でダイヤモンドバックスの勝利となった。ただ1991年にリーグの統計的正確性に関する委員会が「公式ノーヒッターは9回以上でなければならない」と定めていたのである。このため公式記録とならなかったのである。

試合後9回までノーヒッターを続けることができたかと問われ、バムガーナーは「分からないよ。あまりにも多くの変数があるからね」と答える一方で「7回までうまくいったのなら、あと2回うまくいかないとは考えにくいよ」と語っている。

ただ試合終了時、マウンドでチームメート達から祝福されたことに対して「これは私たち全員にとって特別なことでありこのようなことができること、この一部になれることは素晴らしく、幸運なことだと思う」とも話している。

実はこの日の第1試合でブレーブスの安打は6回にフレディ・フリーマン一塁手が放った1本だけで、5-0でダイヤモンドバックスが勝利していた。勝利したザック・ギャレンはバムガーナーとともに7イニングであっても完封勝利とは認められている。

これによりダイヤモンドバックスは1977年9月5日にレッドソックスが達成して以来初めてダブルヘッダーで2試合とも完封したチームとして記録されることとなったのである。またブレーブスの2試合1安打はダブルヘッダーで史上最少の安打数としても記録となった。

コロナ禍で認められなかった記録と認められた記録が起こった1日として記憶されることになりそうだ。