新型コロナウイルスの世界的流行が続く中、ワクチン接種が進むアメリカ。MLBでは徐々に入場制限が緩和されつつある一方で、接種を推奨する取り組みも行われている。マリナーズの本拠地Tモバイルパークでは、18歳以上の来場者を対象として球場内でワクチンの接種を開始した他、5月19日からはヤンキースタジアムとメッツの本拠地シティフィールドでも接種が行われる。ヤンキースは接種した人に入場チケットの引換券をプレゼントまでする力の入れようだ。またドジャースタジアムではソーシャルディスタンスを取らないでいい接種者用の座席区域も設けられた。ヤンキースも追従する見込みだという。

対してチームでも接種が強く推奨されている。選手やスタッフの接種率が85%を超えれば、マスク着用やミーティングなどの行動制限を緩和できるようになっており、ヤンキースやロッキーズ、タイガースなどが既に85%に達している。

が、その一方でワクチン接種が済んだとしても感染予防は気が抜けないということを示したのが他でもないヤンキースだ。現地11日にフィル・ネビン三塁コーチとレジー・ウィリッツ一塁コーチが陽性反応を示したと発表。さらに翌12日にはマット・ブレイク投手コーチ、レジー・ウィリッツ一塁ベースコーチとスタッフを含めた合わせて7人が陽性となったことを明らかにしたのである。さらにグレイバー・トーレス遊撃手が検査結果を待つために12日のレイズ戦を欠場した。陽性反応を示した7人中6人は無症状だが、トーレス含めて全員ワクチン接種は済ませていたのである。遠征メンバーは11日から少なくとも3回検査を受けていたという。

アーロン・ブーン監督は12日の会見で「ワクチン接種がウイルスの影響を和らげていることはわかっている。また、我々は何をすべきかを学び、情報を得て、その場で迅速に調整できるように最善を尽くしている」と感染予防の努力を継続することを力説した。

またトーレスについて12月に1度陽性反応が出たことを指摘した上で、「みんながそのことを気にしているのは分かっているが、何もないことを願っている。ただ、すべての情報を得ることが大切だ」とした。

この事態を受けてニューヨーク州の保健当局は「これらのコーチがいつ、どこでワクチンを接種したのかをよりよく理解するために、メジャーリーグベースボールとヤンキースと話し合った」との声明を出している。米疾病予防管理センター(CDC)の定めるワクチン接種基準を満たしていたかを調べているということだ。

MLBはアメリカにおける新型コロナウイルスとの戦いのまさに最前線といった様相を呈している。