プレーバック日刊スポーツ! 過去の3月5日付紙面を振り返ります。2001年の2面(東京版)はメッツ新庄剛志外野手でした。

<オープン戦:メッツ8-12ドジャース>◇2001年3月3日◇フロリダ州ポートセントルーシー

 ニューヨーク・メッツ新庄剛志外野手(29)がドジャースとのオープン戦「6番右翼」で先発出場し、渡米後、初安打を放った。初回2死三塁。昨季12勝右腕アシュビーから左前にはじき返し、初打点もついた。スターンズ三塁コーチから記念のボールを手渡されると宝物を贈られた子供のように喜んだ。

 新庄にとって紅白戦も含め通算11打席目での初安打。2月14日にフロリダ入りし無休で自主トレ、キャンプに臨んだがメジャーの厳しさを味わっていた。「何でこんな、振れんのやろ」。バットを手にキャンプ地の宿舎ホテルの自室で何度ももらした。無意識のうちの重圧に苦しんだが、そんなプレッシャーとも、おさらばだ。宿舎で持ち帰った記念ボールを見つめながら、つぶやいた。「(アメリカで)失敗するなんて(自分が)情けない。成功するまで日本には帰らない」と決意を新たにした。

 首脳陣の評価は徐々にだが上がっている。「2打席目のヒットエンドランはファウルも忠実に右方向に強い打球を打った。打撃内容は進歩している」とバレンタイン監督。今日4日(同5日)のマーリンズ戦は欠場し、キャンプ施設で打ち込む。10人ほどいる外野手のうち5、6人ずつをオープン戦に交互に出場させるためだが、開幕メジャー争いへ負けるわけにはいかない。

 ◇とっておきメモ◇

 新庄が試合で使用しているグラブは阪神に入団した1990年から使い続けているものだ。練習用はたくさんあるが、本番で使用するのは新人時の背番号「63」と刺しゅうされた、このグラブに限られている。もとは鮮やかな赤色だったが11年使ううちにすっかり色あせた。「自分の手と一緒です」とメ軍でもこの“骨董(とう)”グラブに執着する。長年使い込むだけに手入れにも時間がかかるのかと思ったら「手入れをすると、型が変わってしまうのでほとんどしない」。新しもの好きの印象があるが、ボロボロのグラブには外野の名手としての意地を感じさせる。

※記録と表記は当時のもの