3年ぶりに凱旋(がいせん)した今回の3連戦は、まさに「イチロー・シリーズ」だった。日程が決まった昨年中に、この日の「ボブルヘッド人形デー」の開催が決定。地元テレビ局はCMで事前告知を繰り返し、ファンに呼びかけた。17日の試合前には、マリナーズのオーナー陣、岩隈、ヘルナンデスから3000安打記念のパネルを贈呈された。「敵」ではなく「功労者」として、最上級の待遇でもてなされた。

 「ボブルヘッドのことはもちろん知っていたし、ただ、全部期待以上のもので表現してくれるから、本当打てて良かった。これだけ盛り上げてくれて、寂しい感じで帰りたくないから、ゲームはちょっと度外視して、今回はそれ(御礼)をしたかったという思いはとても強かったですね」

 移籍後も自宅を構えるシアトルは、イチローにとって第2の故郷。思いは格別だった。「シアトルの人たちは、こんなに僕のことをいまだに思ってくれているのには感激しました」。14年以降、3年連続で年間1本塁打の43歳が、狙って放った「御礼弾」。メジャー通算3033安打の中でも、秀逸な一打として残るはずだ。【四竈衛】