ヤンキース田中将大投手(28)が、地区首位レッドソックスとの首位攻防戦に登板し、7回0/3を1失点の好投で今季11勝(10敗)目、日本投手としては7人目となるメジャー通算50勝目を挙げた。これが101試合目の登板で、今年5月に109試合目で50勝を挙げたドジャースのダルビッシュ(当時レンジャーズ)を抜き、日本投手では史上最速で到達した。

 8回途中でマウンドを降りる田中に、今季12度目の入場券完売で超満員4万6000人超の観客からスタンディングオベーションが送られた。帽子を取ってそれに応える表情に、エースのりりしさがあった。「あまり調子のいいボールもなかった。(スライダーが)投げてる感触としては良くなかった」と、立ち上がりから手探り状態だったと明かす。だが、悪いながらも狙い通りのコースに制球良く投げ、次々とゴロアウトを奪った。

 1点リードの6回、先頭に二塁打を許し、1死三塁からサンチェス捕手が止められなかった縦に落ちるスライダーが暴投となり、同点に追いつかれる苦しい場面もあった。それでも「あれは自分が悪いですから。しっかりと制球できてなかった」と女房役を責めず、持ち前の粘りでそれ以上の失点を許さなかった。大不振が続いた前半戦ではなかった粘り。右肩炎症による離脱から復帰後はこれで3連勝と、完全復調を印象づけた。

 地区2位のヤ軍はこの勝利で首位レ軍と4・5ゲーム差に縮め、地区首位争いに踏みとどまった。ジラルディ監督は「タナカはこの3年間、先発ローテを引っ張ってきた存在。本来の姿に戻ったのは大きい」と評価した。3ラン本塁打を放ち打のヒーローとなったホリデーは「彼は常にエースの働きをしてくれている。7回まで好投する先発がいれば勝つことは難しくない」と称賛した。

 日本投手で最速の50勝を達成した田中は「(自分としては)遅かったですね。良くないピッチングが続いた時期があったから」としながらも、充実感をにじませた。【水次祥子】

 ▼田中が日本人投手で7人目の通算50勝に到達。101試合目での到達は今年レンジャーズで達成したダルビッシュの109試合を上回る最速。また田中は通算26敗で、50勝達成時の敗戦数は16年岩隈(マリナーズ)の29敗を抜いて最も少ない。