【クリーブランド(米オハイオ州)3日(日本時間4日)=四竈衛】エンゼルス大谷翔平投手(24)が、メジャー移籍後初の1試合2本塁打をマークした。インディアンス戦で初の「3番DH」に座り、初回に先制の10号2ラン、3回には同点の11号ソロと2打席連発。今季は投手として4勝(1敗)を挙げており、1919年のベーブ・ルース以来の同一シーズン「10発+4勝」に到達した。8、9回に安打を放って初の1試合4安打を記録するなどチームの連敗を4で止める立役者となった。

 乾いた音が響いた瞬間、イ軍の外野陣は打球を追う動作をやめた。3回表1死、94・1マイル(151・4キロ)の直球を捉えた大谷の打球は敵地のため息の中、本塁から135メートル離れた右中間最深部に消えた。メジャー初となる2打席連発。「バットを出したらいいところに当たってくれたという感じ」。謙遜ではない。それほど無意識にタイミングとバットの軌道は一致していた。

 初の3番で迎えた初回の第1打席。96・1マイル(154・7キロ)の速球を左翼席へ運んだ。7月25日以来で、敵地では初めて本塁打は先制の10号2ラン。「多少、差し込まれた」とはいえ、インパクトの直前まで球を呼び込む本来の打法で、くすぶっていた感覚を思い起こしていた。

 右肘の内側側副靱帯(じんたい)損傷による離脱から7月3日(同4日)に復帰後、前日まで打率2割と不本意な状態が続いた。13安打に対し、24三振。自分のスイングをさせてもらえない打席が続いた。変則モーションの投手が多いメジャーで「立ち遅れ」は致命傷。試合前のフリー打撃では、早めに始動して右足を着地し、内側からバットを鋭角に振り下ろす動作を繰り返した。3試合ぶりのスタメンを前に短距離ダッシュを取り入れたのも、体のキレを重視するイチローの調整法に酷似する。進歩するためであれば変化することに迷いはない。「抵抗はないですね。普通にやって打てるとも思っていないですし、僕自身がもっとレベルを上げていかないと打てないところにいる。まったく変えることに怖さはないです」。

 8回の第4打席には苦戦する左腕の内角球を左前打、9回の第5打席には横手右腕の外角低めのシンカーを中前へ運んで初の4安打。ギリギリまで球を待ち受け、見極められた結果だった。「考えながら、いろいろ変えながらいければいい。まだまだ型がある感じではない。それをしっかり探したいと思います」。

 キャッチボールを開始したとはいえ、現時点で「二刀流」再開のメドは立っていない。ただ、今は投打とも発展途上。試行錯誤はいとわない。誰よりも大谷自身が今後の伸びしろを再認識した、2発4安打だったに違いない。