【テンピ(米アリゾナ州)15日(日本時間16日)=斎藤庸裕】「打者大谷」は開幕へ準備OKだ。エンゼルス大谷翔平投手(26)が、レッズとのオープン戦に「2番DH」で出場し、2打席連続アーチを放った。ともに左方向への本塁打だったが「違うホームラン」と、異なる感覚を明かした。3打数2安打で6試合連続安打をマークし、オープン戦打率5割6分3厘、3本塁打、5打点。実戦の1試合2本塁打は18年8月3日(同4日)のインディアンス戦以来955日ぶり。打者の指標とされるOPS(出塁率+長打率)は1・681と驚異的な数字で、絶好調をキープしている。

   ◇   ◇   ◇

しなりの効いたスイングで、大谷が強烈なインパクト音を残した。3回1死、レ軍の右腕ロレンゼンの初球カーブを捉えた。打球は左中間スタンドへ届く2打席連続アーチ。1打席目と同じく左方向への2発だったが「違うホームランで良かったかなと思います」と振り返った。それぞれに、異なる手応えがあった。

◆1発目 ボールを見極め、フルカウントから6球目の外角直球を捉えた。「変化球を頭に入れながら直球が来たので、払うような感じで打った」。直前に2球、変化球が続き、決め球も変化球と想定しながら直球に対応。風もあったが、「軽く当てたような感じ」でスタンドに放り込んだ。

◆2発目 初球のカーブをフルスイングした。「まっすぐを待ってましたけど、カウントのカーブをある程度、頭に入れながら振り抜けた」。最速100・5マイル(約161・7キロ)の直球を誇るロレンゼンに対し、直球待ちで変化球に反応してさばいた。

1打席目は変化球待ちで直球を“コンタクト”し、2打席目は直球狙いで変化球に対応して“振り抜いた”本塁打。簡単に崩されていた昨季と違い、体の軸がぶれず、常に自分の間合いで振れる状態だ。

好調の要因はまず、“見えている”こと。「打ちにいっているボール、ファウルになっているボールもストライクですし、見逃している球は比較的ボールになる球なので」。甘い球を打つ好球必打が特徴的な打撃で「振るか振らないかの判断もまずまずいい」と、選球に手応えがある。

オープン戦初戦から6戦連続安打で打率5割6分3厘。投手調整もあり、規定打席には届かないが、両リーグトップの打率5割を大きく上回る。1・0を超えれば屈指の強打者とされるOPSは1・681。まだ18打席で評価し難いが、驚異的な数字だ。大谷自身は「結果以上に(打席に)立っている感じはいい」と涼しげな表情。開幕まで約2週間を残す中、打者なら今開幕してもいける-。そんな雰囲気が漂っている。

▽レ軍ロレンゼン(大谷に被弾、自身も二刀流)「彼は本物だと初めから言っていたよ。二刀流の試みは最高だし、続けるべきだと思う。もし誰か好きな選手を選べと言われたら、彼だ」