エンゼルス大谷翔平投手(26)が絶好調だ。3試合連続本塁打のかかるマリナーズ戦に1番DHで出場。2回の第2打席には8試合連続安打となる左前打を放った。3戦連続アーチとなれば2018年(平30)4月6日のアスレチックス戦以来のこと。当時の原稿を復刻し振り返ります。(以下の所属、年齢などは当時のまま)

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【アナハイム(米カリフォルニア州)6日(日本時間7日)=本間翼、斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(23)が3試合連続の本塁打を放った。アスレチックス戦に「8番DH」で出場。0-6の2回2死走者なしの第1打席で、151キロの速球を中堅スタンドにたたき込んだ。日本人では松井秀喜以来2人目の3戦連発。本拠地デビューから3戦連続の「1本塁打・2打点以上」はア・リーグ初と記録ずくめの活躍だ。8日(同9日午前5時7分開始)のアスレチックス戦では2度目の先発登板に臨む。

瞬間にホームランと分かるほどの乾いた快音だった。2回2死。大谷は初登板で投げ合ったゴセットの151キロの速球を捉えた。打球は大きな放物線を描き、バックスクリーン左にある、水が流れる岩を模したオブジェにまで届いた。「今日はすごく(感触が)良かった。芯で捉えてましたし、しっかり自分のスイングができた」。これまで2本の本塁打を放った時とは違い、一塁を回って走る速度を緩めた。それほど会心の打球だった。

メジャー初本塁打は勝利を呼ぶ3ラン。翌日はサイ・ヤング賞2度のクルバーから同点2ラン。そしてこの日は反撃開始のソロで、6点ビハインドの重苦しい雰囲気を一変させた。2死走者なし。味方の安打すら出ていない状況で、なすべきことは「(塁に)出ること」。ア軍に傾いていた流れを引き寄せるために「何とか出塁して1点でも多く取って、後半に入っていけるようにしよう」と心構えはシンプルだった。

憧れの松井秀喜のように、どんな状況でも大谷は今なすべきことに徹する。その姿勢には同僚も一目置く。過去2度、セーブ王に輝いたジョンソンは「大谷への期待は空に届くぐらい高い」と言い、その重圧に押しつぶされずに活躍する様子を「ドミノ(倒し)みたい」と表現した。牌を均等に一定の距離で並べ、端の牌を倒して遊ぶドミノ倒し。牌の高さは同じで表面に凸凹はない。途中で止まらず、パタパタと牌が倒れる際の美しさは、まるで大谷のプレーのようだという。「均衡に精神をコントロールし、やるべきことをやる人だ」と驚いていた。

大谷の1発にファンの興奮は止まらなかった。第2打席から「オ・オ・タ・ニ」の大合唱が始まり、まるでワールドシリーズのような雰囲気になった。観客の大半が立ち上がり、2度のリーグMVPを誇る主砲トラウトを上回る大歓声が送られた。6-8の5回1死満塁の打席で大谷が冷静に押し出しの四球を選び、1点差とすると、快音を期待していた観客は相手投手に一斉にブーイングを浴びせるほどだった。

新人の3戦連続本塁打はエンゼルスではもちろん、ア・リーグで史上初の離れ業だ。それでも大谷は好機で2度凡退しての4打数1安打に満足していなかった。「しっかり内容も考えながら次に向けて頑張りたい」。8日(同9日)にはメジャー2度目の先発登板。今度は右腕から投じるボールで全米に再び衝撃を与える番だ。

▼大谷は5回に押し出し四球を選び2打点目。日本選手の3戦連発は04年と07年に松井秀喜(ヤンキース)がマークして以来2人目。球団によると、1920年に打点が公式記録になって以降、本拠地デビューから3試合連続で、本塁打を放ち、かつ1試合で2打点以上を挙げたのはア・リーグ史上初。本拠地デビューから地元で3戦連発は06年マット・ケンプ(ドジャース)08年クリス・デービス(レンジャーズ)15年トム・マーフィー(ロッキーズ)に続き4人目。FOXによると、先発した選手が同一年に3戦連発を記録するのは1930年のベーブ・ルース以来。