【ボストン(米マサチューセッツ州)14日(日本時間15日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、聖地で初本塁打を放った。「2番DH」で出場したレッドソックス戦の6回、左翼スタンドへリーグトップタイに並ぶ11号ソロ。高さ11・3メートルの壁、フェンウェイパーク名物「グリーンモンスター」を越える1発をたたきこんだ。元祖二刀流のベーブ・ルースは同球場を本拠地として投打で活躍。大谷にとっては2年ぶりの聖地で、現代の二刀流として4打数2安打で打撃力の高さを見せつけた。

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メジャー最古のスタジアムで、大谷が美しいアーチをかけた。6回1死、右腕ピベッタの外角低めのナックルカーブを捉えた。体勢を崩されながら、右手1本のフォロースルーで左方向へ。力強い打球で、敵地ボストンのファンを沸かせた。フェンウェイパークの名物グリーンモンスターを越える1発。「有名なところに打てたのはすごい良かったですね。楽しかったですし、風情があって素晴らしい球場だと思いました」と、充実感をにじませた。

110年の歴史を身に染みて感じた。元祖二刀流のベーブ・ルースはレ軍で1914年にデビューし、18年にメジャーで唯一の“2ケタ勝利&2ケタ本塁打”を達成した。同球場は二刀流の伝説が生まれた地でもある。色あせた緑色の壁に、白地で書かれた両軍のチーム名とスコアボード。大谷は「伝統ある球場なので、素晴らしいというか、ずっと見ていた球場ですし、そこで実際に打つことができたので、それはそれでうれしい」と素直に喜んだ。

本塁打王12度、打撃力が高かったルースに負けじと、大谷も躍動した。1回には左翼線へグリーンモンスター直撃の二塁打を放ち、この日4打数2安打。持ち味の左方向への打撃で2本の長打をマークし、「どこにも打てるというのがいい状態だと思うので、センターを中心に引っ張ってもいいし、流してもいい。ある程度、打球に角度がつけば、いい状態かなと思います」と冷静に振り返った。

今季は投打を合わせて全37試合に出場。それでも疲労については「多少あるのは仕方ないというか、みんなあると思うので。それなりに試合数もこなしてきてますし、予想の範囲内かなと思います」と淡々としていた。前日のチーム休養日は「ずっと寝ていたので、寝だめはできたかなと」。完全休養で回復に努めて臨んだ一戦で、不安を一掃する一撃。現代の二刀流が、聖地で勢いを取り戻した。

▼大谷がレッドソックスの本拠地フェンウェイパークで本塁打。同球場で日本人選手の本塁打は、昨年8月12日の筒香(レイズ)以来5人目(14本目)。「グリーンモンスター」越えの1発を打ったのは、05年8月12日の井口(ホワイトソックス)08年5月3日、6月3日の岩村(レイズ)以来13年ぶりで、左打者では岩村に次いで2人目だ。ちなみに、松井秀喜は同球場で日本人最多の9本塁打を打っているが、右越え7本、中越え2本で「グリーンモンスター」越えの1発はなかった。