パイレーツ筒香嘉智外野手(29)に待望の今季1号が飛び出した。20日(日本時間21日)、カージナルス戦に代打で出場し、移籍1号ソロ。3点リードの9回、約140キロのチェンジアップを右翼後方のブルペンへ運んだ。メジャーでの本塁打は、レイズ時代の昨年9月19日以来だった。

渡米2年目の今季、レ軍での開幕戦は「1番一塁」でスタメン出場したものの、思うような結果が残せずドジャース移籍。故障もあり、マイナーで調整を続けてきた。その後、メジャーでのプレー機会を求めてパ軍へ移籍。この日は代打の1打席勝負で本来のパワフルな打撃を披露した。「新たなパイレーツというチームで打ててうれしく思います」。試合後、会見に応じた筒香は、ほぼ表情を崩すことなく、淡々と今季初アーチを振り返った。

DeNA時代から、打撃の詳細を語ることは多くない。マイナー期間中の修正についても「今度ゆっくりと…」とさえぎる一方、「つらいという感覚はまったくなかったですし、結果を残せなかったのは僕自身」と、言い訳がましいことは一切口にしなかった。遠くへ飛ばすパワーに注目されがちながら、タイミング重視の技術が神髄。どっしりとした構えと始動の感覚を取り戻し、メジャーへ戻ってきた。移籍前まで今季わずか4本だった長打が、新天地4試合で早くも3本を数える。

元々、器用なタイプではないだけに、すぐに結果を残せなくても腹はくくっていた。「米国にプレーしに来ているので、日本という思いはなかったです」。遅ればせながら、信念を貫く筒香が心機一転、力強い1歩を踏み出した。

▼筒香が日米を通じて初の代打本塁打。日本選手の代打本塁打は大谷(エンゼルス)が18年8月18日レンジャーズ戦で放って以来、通算7人目(11本目)。