エンゼルス大谷翔平投手(27)が15日(日本時間16日)、米有力誌「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」に選出された。「ICONS(象徴)」の部門でテニスの大坂なおみ(23)らとともに選ばれた。あらためて今季の活躍が世界中に注目され、強烈なインパクトを残した事実が、クローズアップされた。一方、ホワイトソックス戦に「2番DH」でスタメン出場した試合では、5打数無安打と2試合連続で無安打に終わった。

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試合開始前から、大谷の周囲はザワついていた。1923年創刊で、世界初のニュース雑誌として知られる「タイム」誌が、今年の「世界で最も影響力のある100人」を選出。政財界の著名人が並ぶ中、27歳の日本人メジャーリーガー大谷が名前を連ねた。投打の「二刀流」で高いレベルの成績を残し続け、ベーブ・ルースと比較されるほどの強烈なインパクトが、野球界だけでなく、世界に「最も影響を与えた」と認められた証拠だった。

MLB公式ホームページが速報で伝えたほか、エ軍は球団の公式ツイッターで祝福。同誌に推薦文を寄せたアレックス・ロドリゲス氏(元ヤンキース)は「彼はブライス・ハーパー(フィリーズ)のパワー、マックス・シャーザー(ドジャース)の投球、トレイ・ターナー(ドジャース)のスピードを持っている」と、投打走トップクラスの選手の名前と比較して解説。「フィールド上でも信じられないが、フィールド外でも紳士だ」と、人間的な魅力についても触れた。

マドン監督も、大谷の選出に「彼にとって喜ばしいこと」と、祝福の言葉を惜しまなかった。今季の印象的な出来事としては、球宴でのフル稼働、6月25日にレイズの本拠地トロピカーナ・フィールドで放った衝撃弾、8月31日(ヤンキース)の本盗などを挙げ、「我々が見たこともないことだ」と続けた。さらに、伝説のバンド「ビートルズ」のメンバー4人の名前を列挙し、「彼が東京で歩いているとすれば、ジョン(レノン)、ポール(マッカートニー)…が歩いているようなもの」と、大谷の特別な存在感を力説した。

この日の試合では、5打数無安打と2試合連続で快音は聞かれず、4試合連続ノーアーチに終わった。だが、本塁打王争いの結果にかかわらず、世界に影響を与えた大谷が、MVP候補の最右翼であることは、もはや動かしがたい。

◆米有力誌TIMEの恒例の特集 「世界で最も影響力のある100人」は2004年にスタート。指導者、芸術家、巨匠、パイオニア、象徴、革新家などの各分野で世界を変えるほどの影響力を持つ人物を同誌の編集者が選出し、毎年発表している。日本人ではこれまで安倍晋三前首相、孫正義ソフトバンク代表取締役会長兼社長、世界的ゲームクリエーターで任天堂の宮本茂氏らが選出。テニスの大坂なおみは今年が3度目の選出で、安倍元首相の2度を抜き日本人最多選出となった。

野球選手では、2007年に台湾出身で当時ヤンキースで活躍した王建民投手が選ばれており、大谷は2人目。野球界関連では、2006年にセイバーメトリクスの父と呼ばれるビル・ジェームズ氏が選ばれ、2007年には現メッツオーナーのスティーブ・コーエン氏が成功した投資家として選出された。

今年の「LEADERS(指導者)」ではジョー・バイデン米大統領や、同前大統領のドナルド・トランプ氏などが選ばれている。また「INNOVATORS(革新者)」部門で、日本人で建築家の隈研吾氏が選ばれた。