MLBと選手会が1日(日本時間2日)、新労使協定の合意がないまま現行の協定失効期限を迎え、米東部時間2日未明から経営陣によるロックアウトに突入した。MLBの全業務が凍結状態となるのは、94~95年のストライキ以来。経営陣によるロックアウトは90年以来となる。

◆解説 MLBの新労使協定を巡るオーナー側と選手会の交渉が決裂し、ロックアウトされた。今回は選手側がプレーを拒否するストライキではなく、経営側が労働争議の交渉手段として組織の全機能を停止させるため、ロックアウトと表現される。

今オフの労使交渉は、早い段階から決裂確実とみられていた。プレーオフの改正、年俸調停、FA期間短縮など、争点が多岐に及ぶという理由だけではない。コロナ禍で開幕が延期された昨季、公式戦再開へ向けた折衝の際には、直接面談ができなかった事情があるとはいえ、オーナー側と選手会側が互いに特定のメディアへ独自情報をリークし合い、泥沼の争いを繰り広げた。これまでに機構側が公式球を極秘裏に変更したり、再三のように野球規則を修正してきたこともあり、選手会側が不信感を募らせてきた事情もある。今回のロックアウトが「火に油」を注いだ可能性もある。

現時点で、解除の時期はまったく見えていない。双方の主張には大きな隔たりがあるものとみられ、短期間で妥結する可能性は極めて低い。広島鈴木誠らの代理人を務めるジョエル・ウルフ氏は、希望的観測としたうえで「1月のどこかの時点」を想定した。その一方で、米球界内には2月中旬のキャンプイン直前を予想する声や、「最悪、公式戦開幕に影響しなければいい」と話す関係者がいることも否定できない。「世界最強の労働組合」と言われるMLB選手会が、億万長者のオーナー陣相手に簡単に妥協するとは考えにくい。【MLB担当=四竈衛】