MLBは2日未明、労使協定失効までに新協定で選手会と合意に至らず、ロックアウトに突入した。MLBの全業務が凍結状態となるのは94~95年のストライキ以来9度目、経営陣によるロックアウトは90年以来、31年ぶり4度目となる。

選手会は年俸調停とFA期間の短縮など若手選手の待遇改善、球団が積極的に補強を行わないタンキング防止策などを提案し大きな改革を求めたが、経営陣が難色。マンフレッド・コミッショナーはファンへ「非常に落胆している。だがこれは重要な1歩」と声明を発表した。ロックアウトと同時にMLB公式サイトからは現役選手の写真、動画、記事がすべて消滅し、事態の異様さを物語った。

ロックアウト中は球団施設が封鎖されて選手の立ち入りが禁じられ、トレード、FAなどの契約交渉も凍結される。ポスティングシステムで広島からメジャー移籍を目指し交渉期間に入っていた鈴木誠也外野手(27)は、残りの期間約20日間を残し一切の交渉が中断。マリナーズからFAとなった菊池雄星投手(30)はメッツ、ブルージェイズなどが獲得に興味を示していると伝えられるが、ロックアウト前に合意に至らず、交渉中断となった。

○…広島鈴木誠はロックアウトにも冷静な構えを示した。この日マツダスタジアムで練習後に取材に応じ「それはもう分かっていたこと。そんなに慌てて決めれるようなアレでもない。特に焦りもないですし、本当に今は自分ができることをやるだけです」ときっぱり。これまで獲得調査を進めてきたメジャー各球団とのオンライン会談の感触については「あんまりしゃべれないんですけど、たくさん評価していただいているのは伝わるので、すごくありがたいです」と話した。

<ロックアウト、何が起こる?>

ロックアウト中には何が起こるのか。米メディアは以下の内容で伝えている。

◆FA 球団と選手の交渉が一時停止。選手会に所属していないマイナー選手を獲得することは可能。

◆トレード メジャー40人枠に入っている選手のトレードは不可能。マイナー選手間のトレードは可能。

◆球団施設 封鎖。選手は練習などのために施設を使用することは禁止。負傷者は治療やリハビリのため施設に入ることができる。

◆球団と選手の関係 ロックアウト中は球団と選手はコミュニケーションを取ることができない。所属選手が結婚した場合、GMは結婚式に出席できない。

◆薬物検査 禁止薬物の検査は、ロックアウト中は行われない見通し。

◆外国人選手 ロックアウト開始時に米国外に滞在していた場合、ビザが無効になる見通し。

◆試合出場 独立リーグや海外リーグの参加は認められる。オフシーズン中に中南米で行われている冬季リーグには参加可能。来季開幕後もロックアウト継続中は、メジャー40人枠に入っているが26人枠には入っていない選手は、マイナーの試合に出場できる。

※ストライキ→選手側がプレーを拒否 ロックアウト→オーナー側が業務停止、施設使用不可、交渉凍結