【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)28日(日本時間29日)=四竈衛、斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、本拠地開幕戦で躍動した。カージナルス戦に「2番DH」で出場し、3打数2安打。第1打席でチャンスを広げる二塁打を放ち、先制攻撃の流れを作った。韓国シリーズ2連戦から3試合連続安打をマーク。1番ベッツ、3番フリーマンが本塁打で追加点を奪い、MVPトリオの上位打線が機能したチームは10安打7得点で快勝した。

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大谷は打席に立っていても、ベンチにいても、野球に集中していた。7回無死一塁の第4打席、3番手の右腕オブライエンとの初対戦で空振り三振に倒れた。ベンチに戻る途中、3番のフリーマンに声をかけ、ダッグアウトでは通訳を介さずに6番ヘルナンデス、7番アウトマン、9番ラックスら下位打線の同僚と会話。ジェスチャーを交え、同投手の球種の軌道を伝えた。

プロとして当然の行動かもしれない。ただ、7回、大量リードの展開で次の打席は回ってきそうにない状況だった。「僕がどう見えてるかの感覚を、初めてのチームの選手たちは知らないですし、どういう風な感覚で見えてるかっていうのを共有するのは大事かなと思います」。相手投手はメジャーでわずか3試合の登板しかないが、カ軍は同じナ・リーグで残り6試合。再戦する可能性もある。スキのない、先を見る大谷の姿勢が表れていた。

1回の守備中には、DHのためベンチで待機。打撃で最も重視する構えを3度繰り返し、素振りもした。iPadでデータをともに確認するのは水原一平氏ではなく、臨時通訳のウィル・アイアトン氏に変わった。二人三脚だったこれまでとは違い、1人の時もあるが、大谷の野球愛が変わるはずもない。先を見据え、勝つことに集中する-。ベンチでの姿と行動が、その気持ちを物語っていた。【MLB担当=斎藤庸裕】