<レッドソックス12-4レイズ>◇3日(日本時間4日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)3日(日本時間4日)=山内崇章】レイズ岩村明憲内野手(29)が日本人左打者で初のグリーンモンスター越えを放った。

 今季第2号は、三塁ベースを踏み終えるまで確信できなかった。岩村は手に残った快感に背中を押されるように走力を加速させた。日本人の左打者ではメジャー6年目のヤンキース松井も経験していないグリーンモンスター越え。未知の高さにホームベースまで全力疾走を緩められなかった。

 岩村

 敵がグリーンモンスターなので審判がホームランとコールするまで一生懸命走りましたよ。ポイントもタイミングも完ぺきだった。あとは角度の問題だけだった。たまたまですが、気持ちはいいですね。

 高さ11・3メートル、フェンウェイパークの名物フェンスの主である左翼ラミレスも定位置からほとんど動かなかった。推定飛距離120メートルの打球は、偶然にも、そのラミレスが通算500号まであと4本に迫ったカウントダウンの横断幕「496」を直撃した。

 6点差で負けていた8回先頭打席でも、集中力を切らさなかった。昨季20勝でア・リーグ最多勝に輝いたベケットの外角92マイル(約148キロ)をとらえた。カウント0-2。「あそこは直球しか来ないだろうと思った。球速があるので遅れないように待っていた」。メジャー通算9本塁打のうち、4本が左方向へ打ち返している。「ピッチャーがそこ(外角)に投げてくるから、逆方向に打ち返すだけ」。日本人打者によるグリーンモンスター越えは05年8月12日の井口以来2人目。昨年のワールドチャンピオンの面々に、パンチ力ある広角打者を印象付けた。

 チームは大敗したが、2安打で4試合ぶりのマルチヒットも記録した。打率2割1分4厘。依然本調子には程遠いが「1番打者として大事なのは出塁。今日をいいきっかけにしたい」と上を向いた。復調の兆しが見えてきた。