<ワールドシリーズ:フィリーズ4-3レイズ>◇第5戦(サスペンデッドゲーム=6回裏から再開)◇29日(日本時間30日)◇シチズンズバンクパーク

 力尽きても、岩村明憲内野手(29)が、そしてレイズが成し遂げてきたことは色あせない。岩村は「胸を張って地元セントピーターズバーグに帰れると思います。自分たちが新しいレイズの歴史をつくってきたことに自信を持って来年を迎えたい」と力強く言った。

 最後まで全力プレーでナインを引っ張った。7回表2死二塁。この試合2本目となる意地の二塁内野安打。二塁走者バートレットが本塁を狙い憤死したが「3打席目から4打席目まで46時間以上あいても集中力が変わることなく打席に立つことができた」と話した。

 本当の意味で「チームのために戦った」大リーガーだ。移籍初年度の07年、三塁手としてわずか7失策。にもかかわらず、今季はチーム事情から二塁転向を受け入れた。常に守備について考えながら707打席に立ち、チーム首位打者となる2割7分4厘をマーク。リーグ3位の9三塁打は高い運動能力の証しだ。

 マドン監督は「今日負けたことで終わりじゃなくて、始まりなんだ」とナインに話したという。レギュラー陣は来季、ほぼ全員残留。ロンゴリアはオプションを含めると16年まで、右腕シールズも14年までレ軍だ。もちろん来季が契約最終年の岩村も、球団側が10年のオプションを行使するのは間違いない。

 「ヤンキース、ボストンに、倒さなければいけないチームがまた増えたと思わせた。また来年楽しみなシーズンが始まるんじゃないかと、終わった瞬間に期待しました」と岩村。黄金時代は今はじまった。【千葉修宏】