<ワールドシリーズ:フィリーズ4-7ヤンキース>◇第4戦◇1日(日本時間2日)◇シチズンズバンクパーク

 【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)=大塚仁、四竈衛、水次祥子】ヤンキース松井秀喜外野手(35)が、メジャー7年目で悲願の世界一に王手をかけた。フィリーズとの第4戦で松井は9回に代打で出場。遊飛に倒れたものの、4番アレックス・ロドリゲス内野手(34)の適時打で勝ち越し、7-4で振り切った。ヤ軍は3連勝で3勝1敗とし、00年以来27度目のワールドシリーズ制覇にあと1勝とした。

 勝利のハイタッチの列に加わりながら、松井はあらためてヤンキースの強さを肌で感じていた。本拠地で圧倒的な強さを誇る昨年の王者相手に、同点の9回2死走者なしから3点を勝ち越した。守護神リベラも3者凡退と危なげなく最後を締めた。「9回の攻撃は2アウトから非常に素晴らしかった。強いヤンキースという感じでした」。堂々とした戦いを続け、ついに頂点に手をかけたチームを誇らしげにたたえた。

 自身は第3戦に続き代打出場となった。同点とされた直後の9回、先頭で打席に立ったが、守護神リッジに遊飛に倒れた。「追い込まれてちょっと厳しくなりましたね」。チームがその後に3点を勝ち越し。決勝弾の第2戦、ダメ押し代打アーチの第3戦のような貢献はできなかったが、代わりに第2戦まで不振だったデーモンとロドリゲスが試合を決めた。

 2勝4敗でマーリンズに敗れた03年のワールドシリーズから6年…。ついに世界一が手の届くところにきた。しかし、松井は冷静に振る舞う。

 松井

 まだ気持ちはそんなに変わらない。確かにあと1つですけど、なったわけじゃないですから。あと1つ勝たなきゃいけないという方が強いですね。

 慎重なコメントは苦い経験があるからだ。04年リーグ優勝決定戦では、レッドソックスに3連勝後の4連敗という史上初の屈辱を味わった。絶対的に有利な3勝0敗からでさえ、何があるか分からない。「04年?

 もちろんそういうこともありましたし、有利とはいえまだまだ分からない。気は抜けないですよね」と表情を引き締めた。

 試合前には活躍する選手が呼ばれる会見で、世界一への思いを明かした。自身2度目のワールドシリーズ出場まで6年を要したことを正直に振り返った。

 松井

 フラストレーションは当然ありました。負けるということは受け入れがたいし、毎年目標にしているから残念な年が続いた。

 ヤンキースとの4年契約最終年につかんだ最大のチャンス。逃せばもう世界一は手に入らないかもしれない。どうしても欲しいからこそ、最後まで気を緩めなかった。