<ワールドシリーズ:フィリーズ8-6ヤンキース>◇第5戦◇2日(日本時間3日)◇シチズンズバンクパーク

 【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)=大塚仁、四竈衛、水次祥子】ヤンキース松井秀喜外野手(35)の世界一は、お預けとなった。松井は9回に代打で出場。左前打を放って好機を広げたが、追撃及ばずフィリーズに敗れた。ヤ軍が3勝2敗で迎える第6戦は4日(同5日)にニューヨークで行われる。

 痛烈な打球が敵地の観衆を慌てさせた。5-8の9回無死二塁。3試合連続の代打で登場した松井が、右腕マドソンの94マイル(約151キロ)速球をとらえて三遊間を破った。「ちょっと高めだったんで上からたたくような感じで、うまく打てましたね」。今季何度となく逆転勝利を演じてきたヤンキースの粘りに、スタジアムの快勝ムードはすっかり薄れた。

 1点を返し2点差まで詰め寄ったが、最後はテシェイラが三振に倒れた。それでも7回終了時の6点差から追い上げただけに、今後につながる攻撃だった。松井も「序盤のリードが最後まで響きましたね。ただ8、9回といい形の攻撃ができていた。ある程度、自信を持てるような攻撃だった」と、前向きだった。

 松井が3試合連続で代打要員となっただけでなく、この日はバーネットが先発のため、正捕手ポサダもスタメンを外れた。通常なら5、6番に座る中軸2人を欠いた打線は、破壊力に欠けた。相手先発は第1戦で完投を許したリーで、相手も悪かった。ジラルディ監督は「今日は前回よりもリーをうまく打っていた」と野手をかばったが、5番から8番までの先発野手が11打数1安打ではやはり苦しかった。

 03年以来の第6戦までもつれたワールドシリーズは舞台を本拠地ニューヨークに移す。指名打者制になるため、松井もスタメンに復帰できる。「状態はまあまあいい。DHがまた戻りますからね、いつものようにやるだけです。結果が出るように。まだ1つリードしているわけですから」。ワールドシリーズ4試合の打率は5割5分6厘。満を持して、本拠地で決める。