今日はこれぐらいにしといたろか－なんて強がりですかね？　阪神が４点を追う９回、梅野隆太郎捕手（２４）の４号２ランから４連打を浴びせる猛反撃だ。最後は１死満塁でゴメスが併殺も、１発逆転のシーンまで追い詰めた。連勝は３でストップ。巨人の自力優勝の可能性は消せなかったが、この粘り、今日の勝利につながると信じよう。

　劣勢の空気はどこかに吹き飛んでいた。４点ビハインドを２点に縮めた９回。鳥谷、大和の連打で守護神中崎を引きずり下ろす。さらに福留も続く。絶えず鳴り響くチャンスマーチに背中を押され、３番手大瀬良から右前打して１死満塁。４番ゴメスで一打同点、長打で一気に逆転－。押せ押せのムードの中、最後は無念の遊ゴロ併殺打…。連勝が３で止まっても、ミラクル予感が敗戦を和らげた。

　優勝を目指す集団として、やられっぱなしでは終われない。反撃の合図は２年目梅野だった。４点ビハインドの９回１死一塁。中崎の甘いスライダーを思いっきり振り抜く。左翼スタンドへの４号２ランが、屈辱の０行進を断ち切った。

　「打てたのは良かったけれど、チームの勝利が一番。打ったことに関しては次につなげたい」

　最も欲しかった勝利に届かず、試合後に笑顔はない。ただ巨人と入れ替わり２位に上がったヤクルトとのゲーム差を３でキープ。今日２７日から仕切りなおすために、最後の猛攻が持つ意味は大きかった。

　２度の２軍降格を経験し、梅野は打撃に対する考え方を変えた。主な課題とされるのは守備面。２軍では「自分は打てなくても勝てばいい」とリード面にベクトルを向けた。加えて、同時に「打てる捕手」として評価されてきた自分に対し、プレッシャーをかけた。

　「結局『打つのは大丈夫だ』と言われても、打てなかったら『打ててもいない』と見られる。打てて当たり前。打てないとマイナス評価。いつ上げてもらえるか分からないし、結果は必要ですから。そういう意識になりました」

　リードは数字に表れないが、打撃は結果が全て。守備について考える時間が増えても、１軍再昇格に向けて１打席への集中だけは継続した。それが実った約２カ月ぶりの１発。代打を送ることなく期待してくれたベンチに、自分にしかない魅力で恩返しだ。

　「（広島に）やられたことが一番悔しい。なんとか明日（２７日）につなげたいです」。捕手の顔に戻ると、本塁打の余韻に浸る姿は一切なかった。今日２７日は前回コンビを組み、勝利をつかんだ岩田が先発。梅野が先発マスクをかぶる可能性は高い。敵陣に与えたラストインパクトを生かす戦いになる。【松本航】

　▼阪神のマジック点灯は、最短９月１日。今日２７日からの５試合で（１）阪神５連勝（２）広島５連敗（３）巨人５連勝以外、のときマジック１７から１９がつく。なお、今日２７日に阪神○で巨人△●、または阪神△で巨人●のとき、巨人の自力優勝の可能性が消滅する。