そう阪神には西岡がいる! 右肘内側側副靱帯(じんたい)損傷でリハビリ中の阪神西岡剛内野手(31)が14日、戦列復帰への覚悟を激白した。17日の2軍戦で4カ月ぶりに実戦復帰する予定。大混戦のペナントレースを戦う1軍チームへも戦力として加わることを念頭に置く。故障後は秀島正芳トレーナー(33)と専属契約を結び、若返りを図った肉体はスピードとキレを取り戻した。

 あれから約4カ月になる。5月22日DeNA戦。送球時に感じた右肘の違和感が、全ての始まりだった。西岡は今の思いを率直に打ち明けた。

 西岡 左(打席)だけでもいいのか。右も必要なのか。投げられるまで待つのか。そこは(首脳陣に)言われた通りに従います。言われれば、最善を尽くして1日でも早く(1軍)復帰できるようにしたい。

 チームは巨人、広島との5連戦を1勝3敗1分けで終えた。狩野と上本が負傷離脱し、マートンとゴメスは深刻な打撃不振を露呈…。首位をヤクルトに譲り、重たい空気が漂い始めた。10年ぶりリーグ制覇への起爆剤が望まれる今、鳴尾浜で背番号7が準備を整えつつある。左打席での打撃はすでに万全。右打席は少し後れを取り、スローイングも時間がかかる模様だが、17日の2軍戦で実戦復帰する予定。その後は…。求められるのであれば「左の代打」だけでも、身を粉にする覚悟がある。

 これまで午前10時ごろになると決まって一番に鳴尾浜を後にしてきた。その後に向かうのは大阪・豊中市内のトレーニングジム。手始めに腕立て伏せの体勢を取り、全身をリズム良く空中へと持ち上げる。「1、2、3…。補助! 補助! あ~もう!」。極限に達して響くうめき声。すぐに汗びっしょりだ。隣から声をかける秀島トレーナーとは、故障後に専属契約を結んだ。

 西岡 ケガをして、最初はやめることも考えた。給料をもらっているのに申し訳なかった。そんな時に秀島さんに出会い「昔の西岡くんのスピードとポテンシャルに戻す」と言われた。(気持ちは)自分で解決しないといけないけれど(昨年のケガから)連続で不運が起きるといやになるときもある。「復活させよう」としてくれるのが伝わった。

 熱意に心が動き、身を委ねた。追求するのは06、07年の自分。瞬発力やスピードにつながるバイクトレーニングは、競輪選手に匹敵する60秒あたり251回転を記録。3カ月前はプロ野球選手の平均値、220回転だった。秀島トレーナーは「もともと能力がある選手。昔できていたことができなくなっただけ。50メートル走は6秒0に持っていく」と語る。二人三脚で流した汗が西岡の自信に変わった。

 西岡 体が変わってきたことは実感する。盗塁は相手あってのことですけれど。肘さえ戻れば、期間が空いてる怖さはない。この期間(トレーニングを)やってきましたから。

 ブランクさえ克服できれば、視界は開ける。猛虎を救え! 西岡の力がこれからの希望になる。

 ◆秀島正芳(ひでしま・まさよし)1982年(昭57)4月27日、大阪市生まれ。日体大を卒業後、トレーナーとして競輪選手や、プロゴルファーに携わる。主な指導選手はゴルフ松山英樹、高山忠洋、谷原秀人、藤本佳則ら。

 ◆今年の西岡 昨年11月の右肘遊離軟骨除去手術を乗り越え、宜野座キャンプでは上本と二塁を争った。キャンプ最終日の2月25日、和田監督に「サードもやっておいてくれ」と告げられ初めて三塁守備。開幕の3月27日中日戦も「3番三塁」で迎えた。その後は三塁で先発出場し、2本塁打14打点、打率2割6分5厘、1盗塁。マートンらの調子が上がらず4位に低迷する打線をけん引も、5月22日DeNA戦で右肘を負傷。翌23日に登録抹消された。8月22日に左打席で屋外フリー打撃を再開。同25日にキャッチボールも開始した。