広島の前回優勝時は1歳か2歳。生まれも育ちも違う同学年がセンターラインをがっちり守り、不動の1~3番トリオとしてチームを引っ張った、まさに平成の「三本の矢」伝説。1番遊撃の田中広輔(27)2番二塁の菊池涼介(26)3番中堅の丸佳浩(27)。タナ・キク・マルが記念の座談会で、新時代の優勝、その舞台裏を本音トークで披露した。

 -優勝おめでとうございます

 タナ(田中) 今まで大会が全部準優勝。どこかで「僕がいるからな…」という心配もあった。

 マル(丸) そんなこと言ったら、キクは1回もないだろ!

 キク(菊池) なめんなよ!(笑い)大学は万年Bクラスみたいな感じ。プロで試合に出られていることが信じられないくらい。さらに優勝…あり得ない。

 マル カープに入ったときは優勝とは遠くて、イメージすら。14年は優勝争いの最後に巨人戦3連敗…。あそこでリアルな優勝までの距離感を感じた。

 キク 俺はパレードがしたい。赤松さんに阪神時代のパレードの話を聞いて、すごくやりたかった。

 -優勝を確信した時期はある?

 マル 俺はある。

 キク 俺もある。

 タナ 俺は…ない。常に不安だった。

 マル 普通あるやろ。キクはいつ?

 キク (8月7日)巨人戦。あそこでちょっといけるかなと思った。

 マル 俺はもっと早い時期。(6月14日西武戦の)赤松さんがサヨナラ打を打った試合。苦手だった交流戦で最後突き抜けた感じ。

 タナ マジック14くらいになってじゃない? マジック20でもすぐ消えちゃうかと不安だった。

 マル マジックの仕組みから分かってなかったでしょ。「巨人も負けたらどうなる」って。1減るやろって答えたら「そうなの? めっちゃいいやん!」。

 タナ そこで初めてちょっと安心。

 -「神ってる」は

 マル 誠也にまたやれと言っても無理と思うけど、それくらいの能力を持っているのは知っていた。

 キク 「神ってる」より「やってる」(笑い)。

 -同学年の呼吸

 マル 二遊間はあるんじゃない? キクの動きは普通の二塁手とは違う?

 タナ 年々良くなっていると思うよ。

 キク 最初はやりづらかった。お互い探り探り。でもマルとはもう長いから。

 マル 広輔は3年目? 敬語やぞ、普通(笑い)。

 キク 出身どこだっけ?

 タナ 神奈川の厚木市。

 マル 田舎やな。

 タナ じゃあお前は?

 マル 勝浦(千葉)。

 タナ 田舎じゃねぇか!

 キク 俺も東京でも23区外だから(笑い)。

 -上位トリオとして

 タナ キクはバントもエンドランも右打ちもできる。進めてくれたらマルがかえしてくれる。俺は取りあえず塁に出ればいいやと。

 キク 1番固定が久しぶりで、やりやすかった。

 マル 自分がかえすというより、後ろに助っ人がたくさんいた。「やってる」誠也も。塁に出ればいいかなと。それにしてもすごいね、あの40歳(39歳の新井貴浩)は。150キロでも年を取ると目がついていかなくなるのが普通なのに、全然感じないって。もう、お化け。

 キク あとはムードメーカーだな、完全に。

 マル 大ベテランが率先して声を出していたら、出さざるを得ない空気になる。(田中を指し)こいつは出していないけどね。

 タナ 出しているよ。一生懸命一番前で出しているでしょ。

 キク SS席で見ているんじゃねぇよ。俺が入ったときにはロッカーで話す人もいなかった。それでもマルが入ったときよりはいい環境。広輔はもっといい環境…恵まれているよ!

 マル 旧市民球場のとき、俺は自分のかばんが椅子だったからね。

 キク 今年みんなで1つになるのは、新井さんと黒田さんのおかげ。恵まれているよ、広輔は。

 タナ それは本当に思ってる(笑い)。