クイックと球種で幻惑だ! 1年目から先発で4勝を挙げた阪神青柳晃洋投手(22)が30日の高知・安芸秋季キャンプで、金本監督からステップアップを指南された。無走者でも通常のセットポジション投法、クイック投法、高速クイック投法の3パターンを併用するよう助言。キャンプでは新球のフォークとカーブを本格習得中で、モノにすれば7球種。3種類の投法で投げ分ければ、なんと21変化が可能になる。

 指揮官は捕手の真後ろから鋭くジッと観察した。視線の先には青柳。プロでも高速の部類に入るクイック投球を何度も確認した後、マル秘プランを明かした。

 金本監督 クイックの方が安定している気がする。球威も落ちない。全部クイックで投げたら打ちにくいと思う。1秒もかかっていないしね。セットとクイック、スーパークイックを投げ分けられればいい。

 現役時代の記憶もよみがえらせながら、投げるタイミングを3パターン用意する効能を説明した。「(DeNA)久保康、(元中日の川上)憲伸も工夫していた。おもしろい、と思う。バッターは嫌なもんやで」

 青柳本人も乗り気満々だ。みやざきフェニックス・リーグ中には香田、金村両投手コーチから直々に指令を受けていた。「ランナーがいない時から急なクイックを練習しろ、と言われていた」。秋季キャンプ中の実戦、その後参加する台湾ウインターリーグで、新スタイルに挑戦する。

 この日は安芸市営球場のブルペンで新球のフォーク1球、カーブ2球も投じた。この2球種が加われば軸となる直球、スライダー、ツーシーム、持ち球のチェンジアップ、シュートと合わせて計7球種となる。3種類の投げ方で各球種を使えれば、一気に引き出しが21パターンまで増える。

 1年前の阪神入団時、野球漫画「ドカベン」で活躍する明訓高校の下手投げエース里中智ばりの活躍を誓った。右打者の足もとに落ちる「サトルボール」、浮き上がってから急降下する「スカイフォーク」など7種類の変化球を操った本家に負けない「カメレオン投法」に期待がかかる。

 金本監督 コントロールと左対策が(課題に)出てきた。巨人なんかは左6人を並べてきたからね。来年はああいうチームが増える。そこでどう打ち取るか。

 1年目の今季は13試合で4勝、防御率3・29と健闘した。「21変化」を駆使して、2年目のジンクスに戦いを挑む。【佐井陽介】