中日荒木雅博内野手(39)が史上48人目の通算2000安打を達成した。

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 荒木は開幕前、意を決して「記録のために僕を出すのはやめてください」とあるコーチに伝えた。口にするのが怖い言葉だった。若手時代から今に至るまで、試合に出られなくなる恐怖におびえてきた。自分に自信が持てなかった。頼ったのは練習だった。

 今季は開幕から結果が出なかった。焦りが募った。4月11日の東京遠征。深夜にホテル自室の向かいのトレーニング室に入った。バットを手にして、あかりを消した。暗闇でスイングの音を聞いた。

 「原点に返ろうと思って。不振でティーやマシンはよくやるけど、こうやって素振りするのは何年かぶり。昔は素振りばっかりしていたなあって。苦しみながら終わらないとね。今まで散々苦しんできたのに、最後だけ楽しようなんて、ムシがよすぎるでしょ」

 入団当初、先輩から食事の誘いがあっても「素振りをするので、23時半ごろに行きます」と頭を下げていたほど、よく振った。汗をかいて不安と恐れを取りのぞかないと、グラウンドに向かえなかった。

 あの素振りの日から、出場した4試合で計8安打。「何かよくなったわけじゃないと思うけどね」。生みの苦しみを味わうことなく、節目を駆け抜けた。