やっとトンネルを抜けた。ヤクルトが交流戦12戦目で今季初勝利。連敗を10で止め、巨人を抜いて交流戦11位に浮上した。最近11試合で10試合が2得点以下だった貧打がうそのように、初回から7得点。真中監督は「集中力というかみんな後ろにつなぐ意識を持っていた」とたたえた。

 電光石火の先制パンチが効いた。1~5番を一気に入れ替えた新オーダー。「打順はあまり気にしない。常に後ろの打者につなごうとしている」という1番坂口が右中間三塁打で出塁した。「内野も下がっていたのでゴロでも1点はいると楽な気持ちだった」という2番上田の左中間三塁打で先制。「甘い球が来ると信じて、真っすぐ1本で待った」という3番山田が中越え二塁打を放ち、開始4分で2点を挙げた。

 この後も上田がこの回2度目の打席で中前2点打を放つなど、打者12人の猛攻で主導権を握った。「ブキャナンの時に援護できていなかったし、連敗を止めたい気持ちもあった。初回にもう1本打てたのは大きかった」と上田。今季2度目の2番抜てきに、杉村チーフ打撃コーチは「監督のヒットじゃないかな」と的中を喜んだ。

 連敗中もヤクルトらしく、練習でも試合でも声が出ていた。試合前、真中監督は報道陣に「やめて下さいよ。重苦しい雰囲気は」と努めて明るく振る舞った。前回10連敗した12年はCSに出場したと聞くと「すごいね」と笑顔を見せた。勝つには勝ったが、終盤には2回で6失点。「まだひとつ勝っただけ。明後日からもひとつずつ頑張ります」と引き締めた。【斎藤直樹】