金本阪神の節目白星はお預けとなった。「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で勝てば、金本知憲監督(49)にとって指揮官通算100勝だったが、序盤からリードを許しての敗戦。糸井嘉男外野手(35)が負傷の影響でベンチスタートが続く打線は爆発力を欠くが、金本監督は完治するまで先発復帰にストップをかける見込み。リーグ戦では首位広島に3ゲーム差をつけられた状況だが、まさに我慢のときだ。耐えた先に、美酒が待っているはずや。

 獅子を上回る8安打を放ちながら勝利に届かなかった。4回以降は3者凡退が1度だけ。何度か好機を迎えたが、得点に結びついたのは1イニングのみだ。金本監督は表情に悔しさをにじませながら、冷静に流れを振り返った。

 金本監督 5回か、うまいこと2点を取ったんですけどね。後がちょっとあれだったかな。あと1本。これはよくあることですよ。

 試合後の言葉通り、序盤で4点ビハインドを背負う展開を打破しかけた。5回無死二、三塁。7番俊介が深い内野守備に二ゴロを転がし、まず1点。1死三塁からは8番梅野の中犠飛で2点目を奪った。一方、4回1死一、二塁では4番福留が一ゴロ併殺打。2点を追う6回1死二、三塁のビッグチャンスでは、6番鳥谷が2番手武隈の初球をミスショットして二飛に倒れた。勝負どころで勢いを遮断され、2得点どまりの敗戦。ただ、指揮官はそのプロセスには納得していた。

 金本監督 彼(鳥谷)は「あと1点」というバッティングをしにいって結果フライになったわけですから。頭にはちゃんとあったし、僕も指示を出したしね。

 この日、首脳陣は「我慢」を選択した。スタメン表に左太もも裏を負傷している糸井、そして上本の名前はなかった。糸井は試合前練習中のフリー打撃で快音を響かせ、一塁側アルプスで階段ダッシュを4本も走っていた。無理をすれば先発出場は可能だったとみられるが、指揮官は「糸井は傷が完全になるまではちょっと…」と4戦連続ベンチスタートを決断。今日15日もスタメンに待ったをかける可能性が高い。22試合ぶりに先発を外れた上本ついては「ちょっと疲れが出ているようだったから」と理由を明かした。

 2人は9回にそろって代打出場。1死一塁から上本、糸井ともに見逃し三振に倒れたが、疲労が軽減されたことは間違いない。これで10試合連続でクリーンアップに1発がない。6月6日のオリックス戦まで3連勝した後は「黒星→白星」の交互が続き、勢いに乗り切れない。試合終了後から1時間30分後、首位広島が12回サヨナラ勝利を決め、ゲーム差は3に開いた。先は長い。今が踏ん張りどころ。今日も歯をグッと食いしばり、総力を結集して勝ちにかかる。【佐井陽介】