1つのチーム愛、1つの勝利がペナントの流れを変える。巨人ケーシー・マギー内野手(34)が、バットで熱いソウルを奏でた。初回1死満塁で鮮やかに先制2点二塁打、5回2死一、二塁では来日初の三塁打。100キロの体を揺らす大激走で2打点を打ち鳴らした。8回には30試合ぶりの7号ソロ。「結果を求めすぎず、リラックスしたことがいい結果を生んだよ」。楽天時代を含め初の1試合5打点で、チームに今季最多得点差の快勝を呼んだ。

 心地いいリズムで熱いメッセージを体に刻む。レゲエミュージシャンのボブ・マーリーを愛聴している。「彼の音楽を聴いていると、リラックスして、自然な気持ちで試合に入れるんだ」。全世界にレゲエを広めたジャマイカンの代表曲「ONE LOVE」の歌い出しは、「1つの愛、1つの心、さあ皆いっしょに集まろう」。日米10球団のどこにいても「フォア・ザ・チーム」を貫く、マギーの心と1つに重なった。

 悪夢の13連敗中、10試合連続で打点ゼロだった。「10日くらい、チャンスで結果を出せなかった」と悔いしか残っていない。自身の打率は上昇しても、勝利に貢献できず、ハッピーになれなかった。2ケタ10連敗が決まった4日オリックス戦の直後は、ベンチに右腕をたたきつけて激高した。

 4位に浮上したチームには、心地よいリズムが流れ出した。「悪い雰囲気は脱した。簡単ではないが追いつけない差ではないはずだ」。マギーの心には、ドレッドヘアで世界を変えようとしたマーリーのソウルが宿っている。【松本岳志】