巨人キラー襲名だ。中日小笠原慎之介投手(19)が9回1死まで巨人に得点を許さず、今季2勝目を挙げた。マギーの2ランを浴びプロ初完封こそ逃したが、8回1/3を4安打2失点。昨年9月4日(東京ドーム)のプロ初勝利も巨人戦で、10代の投手が巨人戦で無傷の2連勝は、67年江夏豊以来50年ぶり快挙となった。チームも今季最多タイの4連勝と勢いに乗ってきた。

 プロ初完封まであと2アウト。小笠原が投じた134球目のチェンジアップを、マギーに左中間席中段まで運ばれた。森監督から「完封しろ」と送り出された9回に、痛恨の2ランを浴びた。直後に交代が告げられ、初完投と初完封を逃した。「僕にはまだ早いということなのかなと思います。次は絶対にゼロで抑えます」と悔しがった。

 内角直球とチェンジアップを武器に、巨人打線を手玉にとった。6回1死一塁から、坂本勇を内角直球で三ゴロの併殺に仕留めた。マウンドで小笠原はほえ、左拳を握りしめた。「内角を突くことが前回の反省だった。今日はできた」と、果敢に内角で勝負した。

 前回16日西武戦でエース菊池と投げ合い、8回10安打5失点で完敗。「この1年をムダにしない」と誓った。強力打線を相手に「怖い」と漏らしながらも、悔しさをバネにこの1週間を過ごした。

 チームの悔しさも、19歳が晴らした。開幕戦ではこの日と同じマイコラスに7回2失点に抑えられた。2軍調整中だった小笠原は「開幕戦をテレビで見ていた。いつか僕がやってやろうと思っていた」と、ひそかに闘志を燃やした。この日はプロ最長の8回1/3を4安打2失点。チームの雪辱を果たした。

 巨人戦で強さを見せた。プロ1年目の昨年9月4日に東京ドームでプロ初勝利を挙げた。今季初登板となった5月6日は中継ぎで、巨人相手に1回無失点。先発では2戦2勝とめっぽう強い。中学時代は東京ドームで行われた「ジャイアンツカップ」で全国優勝した経験もある。森監督は「あいつは(強い)相手を見たりして奮い立つタイプなんだろう。そういうことなら使いやすい」とニンマリ。小笠原も「すごくいいことだと思う」とまんざらでもない様子。強気な19歳。新たな巨人キラーの誕生を感じさせた。【宮崎えり子】

 ▼19歳の小笠原が今季2勝目、通算4勝目を挙げた。巨人戦は昨年が1試合で1勝、今年が2試合で1勝となり、これで3試合に登板(先発は2試合)して2勝0敗。10代で巨人から2勝したのは08~09年由規(ヤクルト)以来で、中日では90年今中以来、27年ぶり。小笠原はまだ黒星がなく、10代の投手が巨人戦で無傷の2連勝は、新人だった67年江夏(阪神)以来、50年ぶりになる。