後を受けた大石も、森コーチの助言を忘れなかった。2点リードの6回2死二塁。かつて、抜けたフォークを相手が打ち損じて抑えた際「ラッキーだなと思わず、もっとたたきつけて投げろ」と指導されたことを思い起こした。「いつも慎二さんに言われていたので。ボールになってもいいと割り切って投げました」。そのフォークで大田を空振り三振に仕留めてみせた。

 ここ4戦の中継ぎ陣の失点合計はわずか2。連敗中も必死につないだ。背景には森コーチからの“伝言”があった。30日のオリックス戦から、本拠地でのリリーフ陣の練習開始時間が、先発陣より30分遅くなった。土肥投手コーチは「暑さが厳しくなる7月の体調面の崩れが(中継ぎ陣の)投球内容につながっていることが数字上も出ていた。何かアクションを起こさないといけないと前々から話し合ってきていた」と明かした。

 中継ぎ陣の疲労を少しでも軽減するにはどうすればいいか。森コーチ、里トレーニングコーチと意見交換して導入した施策。すぐに効果が表れるわけではないが、森コーチの遺志も各自の背中を押していた。

 バックも必死の守りで応えた。7回2死二、三塁。中前への打球を外崎が飛び込んで止め、内野安打での1点にとどめた。抜けていれば試合展開も分からなかった局面。「とにかく必死でした」というプレーが流れを渡さず、9回のダメ押しの5得点につないだ。

 全員野球でつかんだ弔いの白星。天国の森コーチも、満面の笑みでこうたたえたに違いない。「ナイスゲーム!」と。【佐竹実】