最後の打者を二飛に仕留めると、安堵(あんど)感がにじんだ。西武の2年目、多和田真三郎投手(24)がロッテ打線を抑え込み、今季初、自身2度目の完封勝利を決めた。炭谷と両手でがっちり握手を交わし、「今年一番いい投球でした。直球もよくて、最初からスライダー、フォーク、カーブも使えた。(炭谷)銀仁朗さんの配球に感謝したいです」とうなずいた。

 雪辱を期したマウンドだった。前回5日ソフトバンク戦は5回途中5失点でKO。黒星こそつかなかったが役目を果たせず、チームの連勝を13で止めた。「悔しさはもちろんありました。この負けを生かさないといけないと思って、調整してきました」。

 課題はクイックモーション時の制球だった。「走者を出すと、速く投げようと意識しすぎてしまっていた」。土肥投手コーチらとフォームを再チェック。この日の登板に向け、走者を背負った際の足幅を、今までより1足分狭めて練習を重ねてきた。ピンチでも左足を打者方向に真っすぐ踏み出せるようになり、これまで勝負どころで分散してしまっていた力を、ベース上に集約。「1人1人、全力でいきました」と得点圏にランナーを進めた1、3回も安定したコントロールで内角を突けた。球威十分の直球とスライダーを軸に、先発の仕事をしっかり果たした。

 志願して上がった9回も、走者を出しながら「気持ちで投げられた」と無失点で締めた。涌井との初の投げ合いを制し、今度は連敗をストップ。それでも「前回負けた悔しさはまだ残っている。これからも全力でチームのために頑張りたい」と引き締めた。辻監督も「(デーゲームの)他球場の結果を見て、今日は完封の日じゃないかって、冗談で言っていたんだけどね。9回は完封させたいと思って行かせた。素晴らしい投球。今日は多和田の日」とたたえた力投。大逆転Vを目指す獅子に、再び勢いを与える112球となった。【佐竹実】