龍馬が止めた!6試合連続先発出場の広島西川龍馬内野手(22)が2回に巨人菅野から内角高めの難しい球を右翼席に運び、この日唯一の得点となる先制点をもぎとった。5月4日中日戦(マツダスタジアム)以来の3号。対菅野としては今季広島選手の初アーチ。高い打撃技術による1発で初完封の先発薮田和樹投手(25)を勇気づけ、チームの連敗を止めた。

 まだ明るい広島の空に舞い上がった飛球は、右翼ポール内側に着弾した。2回。先頭の西川は、巨人菅野の内角高め144キロに体が反応した。腕をたたんでバットをムチのようにしならせ、巨人のエースから先制点をもぎとった。「久々にその場で回って、うまく打てた」。連敗中の悪い流れを断ち切る、値千金の決勝弾となった。

 自身3カ月ぶりの1発には、高い打撃技術が濃縮されていた。難しいコースをフェアゾーンに入れた。チームメートも「体に巻き付くようなスイング」と舌を巻く打撃がなせるわざだ。 繊細な感覚を大事にする。社会人時代から長さ85~85・5センチ、重さ905グラムの日本ハム中田モデルのバットを使い続ける。「握ったときの感覚がおかしくなるのが嫌なので」と、ほかの選手のバットは使わない。素振りだけでなく、握ることさえも拒む。控えのときに投手の代わりにネクストバッターズサークルに立っても「チームのマスコットバットを両手で握りたくないので、なるべく片手で持つようにしている」という。そのこだわりが試合での打撃感覚につながる。

 西川の打撃には緒方監督も目を細める。「難しい球をバッティングセンスというかテクニックで(体を)うまく回転させてファウルにせずに飛ばすわけだからね。打撃技術は高いものを持っている」。開幕に出遅れながら、6試合連続スタメンで昨季と同じ出場試合数となった。指揮官の「これから出場機会も増えていくだろう。どんどん結果を残して自信にしてレギュラーを目指して頑張ってほしい」という期待に、西川は「そのためには結果を残さないといけないので、貪欲に結果を求めたい」と鼻息を荒くする。停滞していたチームを、生きのいい若ゴイが再び上昇気流に乗せた。【前原淳】