繊細さだけでなく、大胆さもある。7回に1死一、二塁の危機を迎えた。「中途半端なボールではなくしっかり」と腕を振ったチェンジアップで三塁ゴロ併殺。侍ジャパン流の危機回避方法だった。WBCのオーストラリア戦。制球を乱した後にど真ん中に投げ込み、ピンチを脱した中日岡田が、公式戦でも捕手を真ん中に構えさせていた。「そこに原点があるような気がした」。これまでは「打たれたらどうしようっていうのがあった」が、逃げない意志こそが最強の武器だと気が付いた。

 長年、左腕不足だったDeNAにとって待望の2桁勝利だ。これまで「通過点」と話していたが、実は「8月中に絶対10勝すると、口には出さずに決めてました」と告白。今後は目標を16勝に上方修正した。【斎藤直樹】

 ▼今永が今季10勝目を挙げた。DeNAの左腕が2桁勝利を記録したのは、05年に10勝した土肥以来、12年ぶり。06年以降に左腕の2桁勝利がいないのはDeNAと楽天だけだった。左腕の2桁勝利は今永でチーム10人目(21度目)となったが、プロ2年目までに10勝は53、54年権藤、58、59年鈴木隆、02年吉見に次いで4人目になる。今季のDeNA左腕は今永10勝のほかに、浜口7勝、石田4勝、砂田1勝の合計22勝。過去にDeNAの左腕10勝コンビは91年野村15勝と岡本透11勝しかないが、浜口も10勝できるか。