糸井はティー打撃を大事にする。フリー打撃の前には必ずと言っていいほど数パターンのティー打撃で状態を確認。野手に転向したのは06年の日本ハム時代。その頃は毎日のように何十パターンもあるティー打撃をしていた。スイング、弾道、ターゲットを決めて30メートル先の的を当てる。その練習で一から打撃技術を磨いた。体に染み込んだ技術が対応力を引き上げてきた。だから、この日のように初対戦の投手でも攻略できる。
「勝って良かったです。(有言実行が)できて良かった」
試合後、ベンチ裏から出てきた糸井はそうつぶやいた。前夜の敗戦後に「悔しい。明日絶対取るという気持ち…取ります!」と宣言していた。その思いをバットで表現した。
金本監督は「糸井がいいところで打ってくれた。チーム状態がいい時は2アウトから点が入る。後ろへ後ろへアウトにならず、つなぐ意識をもってくれている」と満足顔だ。7・5差とコイの尾は遠い。だが、Vの夢を諦めるには早すぎる。虎をけん引する超人の背中が、そう言っている。【桝井聡】




