阪神西岡剛内野手(33)が、鳥谷敬内野手(36)の2000安打を白星で飾る決勝打を放った。同点7回1死満塁で、中前にしぶとく落とす勝ち越しタイムリー。かつて二遊間でコンビを組み、ケガとも戦ってきた盟友の金字塔に花を添えた。坂本誠志郎捕手(23)も1発を含む4打点をマークするなど大奮闘。阪神ナインが一丸でチームの連敗を4で止め、鳥谷に白星を届けた。

 西岡は、鳥谷の偉業達成をどうしても白星で祝いたかった。その思いが強かったからこそ、駆けだした瞬間から一塁側ベンチの仲間に向かって右拳を上げていた。3-3の同点、7回1死満塁。砂田のスライダーにバットを出した。ふらふらと上がった打球は中前にポトリと落ちる。13打席ぶりにHのランプをともすと、甲子園が歓声で割れた。

 鳥谷の快挙を祝う決勝タイムリー。一塁ベースに到達すると、こぼれ落ちるような笑みを見せた。絶対にけられない。執念の一打で、その思いを体現した。

 西岡 (左アキレス腱=けん=断裂から)復帰してからあんまり結果残してなかったんで打てたのはうれしかったですけど。今日は鳥谷さんの2000安打があったので、なんとかチームが勝って(鳥谷さんに)気分よく帰ってほしいなと思います。

 メジャー挑戦を経て13年に阪神に入団。二塁西岡、遊撃鳥谷の二遊間でタッグを組み、優勝を目指してきた。西岡も昨年の左アキレス腱断裂などケガで苦しんだが、鳥谷も度重なる故障を克服し、グラウンドに立ち続けてきた。春季キャンプでは何度も一緒に汗と泥にまみれた。共感する2つ上の先輩に、これ以上ないプレゼントができた。

 この日、お立ち台は鳥谷との豪華共演になった。残り試合の抱負について問われると、「鳥谷さんが頑張ってくれると思います」と横を見て、笑いを誘った。冗談を言い合えるほど、信頼の絆は強い。自身の決勝打の話題はさておき、「それ(鳥谷の2000安打)に尽きますね」と主役を譲った。でも鳥谷の記念日を祝えたことは、背番号5の誇りだ。【真柴健】