頼れるベテランが再始動した。広島新井貴浩内野手(40)が15日、マツダスタジアムに隣接された屋内練習場で行われた実戦形式の打撃練習に参加した。2週間ぶりの実戦形式の打席で安打性は0本も、手応えのある3打席だった。調整が遅れていたベテランが、大一番を前にペースを一気に上げてきた。

 久しぶりに見た生きた球に、プロ19年目の肉体が反応した。屋内練習場で行われた実戦形式の打撃練習で、新井は9月30日DeNA戦(横浜)以来、2週間ぶりの打席に立った。まずはブレイシアと対戦。初球を見逃し、2球目速球をたたいた。速いゴロで遊撃手定位置付近を抜けていった。

 「思ったよりも体感というか、誤差は少なかった」

 2打席目もブレイシアとの対戦で、8球目を見逃し三振。3打席目は中田の変化球にバットが空を切った。久しぶりに実戦形式の打席は安打性0に終わった。だが、結果よりも3打席計14球、生きた球を見て、シーズン中と変わらぬ反応ができたことが収穫だった。

 5日にへんとう炎を患い、8日までチームを離れ療養した。9日からチームに合流し、全体練習合流は11日。13日までの練習試合3試合は欠場した。この日の実戦形式の打撃練習では、ほかの選手より1打席多く立った。実戦のブランクはあるが「始まってしまえばそんなもの関係ない」と経験でカバーするつもりだ。

 練習終盤には、迎打撃コーチと身ぶり手ぶりで意見交換した。打席で意識し、感じた自分の感覚と、周囲から見た姿と意見のすり合わせ。「スピード感のズレはなく、変化球に対しても突っ込んだりしていなかった。見逃すにしても(ボールに対して)受けているわけじゃない」と迎打撃コーチ。上々の再始動となった。

 今日16日も実戦形式の打撃練習を行い、18日のCSファイナルステージに備える。「優勝チームだけど、そういうのは関係ない。こっちがチャンピオンチームとして迎え撃つんじゃなく、チャレンジャーとしてみんなで一丸となってぶつかって行くという気持ちでやっていきたい」。決戦を目前に、心技体が充実。頼れるベテランは、CS突破に欠かせない。【前原淳】