DeNAの若さが出た。19年ぶりの日本シリーズは、ソフトバンクに6安打1得点に抑え込まれ、1-10と大敗を喫した。先発した井納翔一投手(31)も4回1/3、7失点と大炎上した。だが、3位から勝ち上がってきたクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージとファイナルステージも黒星発進から勝ち上がっている。アレックス・ラミレス監督(43)は、大敗から活路を見いだす采配を振り、敗戦を無駄にせず逆襲への前向きなスタンスを崩さなかった。

 下克上でCSを勝ち上がってきたDeNAの姿ではなかった。散発6安打。5回に相手の失策で出塁した指名打者・乙坂が、倉本の右前安打の間に好走塁で三塁まで進塁した。唯一の得点は、桑原の遊ゴロの間に生還しただけだった。対するソフトバンクは10得点。若きチームに9点差をひっくり返す力はなく、7回以降は2安打に終わった。散々な負け試合となった。

 ラミレス監督自身、独特の雰囲気を感じ取っていた。「初めての日本シリーズで、何人かの選手はナーバスになっていた。でも野球なので、それはあること」。先発した野手9人の平均年齢は26・3歳。日本一をかけた日本シリーズ経験者で、先発布陣に名を連ねたのはロペスだけだった。しかもヤフオクドームではここ2年、交流戦で1試合も戦っていない。17度目の日本シリーズ出場のソフトバンクとは、経験の差は明らか。投打でのまれた。

 だからこそ、敗戦から活路を見いだそうとした。5回1死満塁の場面で降板した井納に代わり、マウンドを託された田中健もなすすべなく、その回だけで7失点。勝負は決したが「相手の先発は球界を代表する千賀。あそこで投手をたくさん使う必要はない」と“マシンガン継投”はあえて封印。反対に、終盤にかけて控え野手6人を全員起用した。「全員使って、みんなに日本シリーズを経験させたかった。それで明日、逆の展開になればいい」と割り切った。

 リーグ3位から下克上で勝ち上がったCSでは、ファーストS、ファイナルSいずれも初戦黒星スタート。そこで引きずらず、連勝につなげたことは、筒香も理解している。「それは全員分かっている。終わったことを振り返ってもしょうがない。明日勝てるように準備するだけ」。1度負けても、そこからはい上がるだけだ。【栗田成芳】