ロッテ涌井秀章投手(31)が今季再取得したフリーエージェント(FA)権を行使する意向を、既に球団に伝えていることが6日、分かった。この日、FA権の申請手続き期間がスタート。涌井は正式な手続きはこれからだが、米メジャー挑戦を第1希望とし、FA宣言することを決めている。

 FA申請期間の初日、涌井はいつもどおり黙々とトレーニングを行った。千葉・鴨川での秋季キャンプには参加しておらず、この日は首都圏にある施設でウエートトレーニングなど約3時間。FA権行使について問われると「熟考しています」と明言は避けた。だが、関係者によると、既にこの日までに球団に権利行使の意向を伝えている。書類による正式な申請手続きは後日とみられるが、米メジャー挑戦の意思を固めている。

 本場の空気に触れ、気持ちはさらに固まった。先月末に渡米し、ワールドシリーズを観戦。ドジャースのダルビッシュや前田の投球を目に焼き付け「近い将来、プレーヤーとして、この場に立ちたいと素直に思いました」と打ち明けている。この日も、ワールドシリーズについて「すごい。その一言です」と強調した。また、第1子出産を控える妻でモデルの押切もえは、夫の決断を尊重するという。涌井は「そういう形だと思います」と、家族の後押しがあることを明かした。

 今後はトレーニングを続けながら、メジャー挑戦の準備を進める。ワールドシリーズ優勝の経験がある井口監督とも相談済み。内容については「時が来れば分かります」と伏せたが、実体験を聞いたようだ。今季は5勝に終わったが、大きな故障歴がなく、4年連続で規定投球回をクリア。マリナーズ、パドレス、カージナルス、ホワイトソックスなど、先発陣が不足しているチームが移籍先の候補に挙がりそうだ。

 同時に、4年間在籍するロッテへの愛着も深い。FA宣言をした後、メジャーを第一としながらも、ロッテとの残留交渉にも臨むつもりだ。ロッテ側も従来の方針を変え、宣言残留を容認。エースにふさわしい条件を用意する。