大学の部で2年ぶり出場の星槎道都大(北海道2連盟)が創価大(関東5連盟第2代表)を1-0で破り、6度目の出場で初勝利を飾った。左腕エース福田俊投手(3年=横浜創学館)が9回4安打11奪三振、132球の熱投で大会完封一番乗りを果たした。道勢としては14年の東農大北海道以来、3年ぶりの4強入り。明日14日、初の決勝進出をかけ環太平洋大(四国・中国3連盟)と対戦する。

 最速148キロ左腕が全国デビューで快投した。1-0の9回2死。福田は最後の打者をスライダーで空振り三振に仕留めると、両腕を広げ満面の笑みを浮かべ、先輩からポンポンと頭をたたかれながら整列した。大舞台で果たした大学初の完封に、「最初から1人ずつ取った結果が完封になりました。うれしいです」と振り返った。

 息を詰まる投手戦も「良い緊張感で投げられた。硬いマウンドも大丈夫でした」と楽しんで投げた。許した安打は4本のみ。直球は140キロ前後だったが、「(球速は)出てなかったけど、自分では良い感じだった」と、抜群の切れで11個の三振を奪った。序盤は得意のアウトコース直球を中心に、中盤はスライダーを多投して的を絞らせなかった。山本文博監督(61)は「今日は福田に尽きる」とほめちぎった。

 経験が生きた。1年生でベンチ入りした15年の上武大戦だった。無失点で抑えていた当時のエース黒川雄太朗(24=富士重工)が1-0の9回1死から、安打をきっかけに3失点して逆転負けを喫した。出番がなかった福田はベンチでただ、ぼうぜんと見つめるだけだった。「今回も同じような展開。あの経験があったからこそ、気を抜かないことを心がけた」。最高の形で先輩のリベンジを果たした。

 今年は創部40周年。道都大から校名変更した年に“6度目の正直”で神宮大会初勝利。チームスローガンの「MAKE NEW HISTORY」を見事に体現した。準決勝の環太平洋大戦に向け「次も厳しい試合になる。投手陣が抑えて野手陣が1本打つ。ずっとやってきた野球をしたい」。勢いに乗った左腕が、次も敵を撃破する。【西塚祐司】

 ◆福田俊(ふくだ・すぐる)1996年(平8)12月14日、札幌市生まれ。札幌手稲山口小1年で野球を始める。4年時に父の転勤で神奈川・小田原市に転居。横浜創学館では3年春の県大会8強が最高成績で、最後の夏は16強。星槎道都大では、この秋の札幌学生リーグ最高殊勲選手、明治神宮北海道地区代表決定戦で最優秀選手。家族は両親と兄。170センチ、75キロ。左投げ左打ち。