大和よ、残ってくれ! 虎のキャプテンが異例の残留要請だ。阪神福留孝介外野手(40)が12日、国内フリーエージェント(FA)権の行使を宣言している大和内野手(30)に熱烈ラブコールを送った。トレーニングのために甲子園球場の施設を訪れた福留は、鹿児島出身の同郷でもある後輩について本音を激白。心の底から残ってほしいと魂の叫びを響かせた。

 甲子園の関係者駐車場でキャプテンの言葉が熱を帯びた。福留だからこそ分かる大和の存在価値。虎の主将は「FAというのは本人の権利。使う側としては悩むし、愛着があるというのもあるだろう。他のチームからの評価を聞いてみるいい機会でもある」と、大和の揺れる思いを推察。そして、異例とも言える「残留要請」が飛び出した。

 福留 チームメートとしてはあれだけの選手だし、残ってほしい。そういう意味では間違いなく、(残留となれば)どんな補強よりも大きいと思う。チームにとって、(大和は)安心感がある。心の底から残ってほしい。チームの全員が思っているはず。

 名手が認める名手だ。福留の阪神1年目の13年からは右中間コンビ(右翼福留、中堅大和)を組んだ。飛球が上がった瞬間、言葉を交わさずにどちらが捕球するか目で会話できる間柄。5度もゴールデングラブ賞を受賞した福留は、大和のプレーについて「打球に対する感覚も、群を抜いている」と感嘆する。しかも、大和は福留と同じ鹿児島の出身。大隅半島にある2人の実家は、車で30分ほどの距離にある。特にかわいがってきた後輩の1人だ。

 福留 俺としては同じユニホームを着て、まして鹿児島の後輩でもあるしね。俺、個人としては残ってほしい。やっぱり球界をみてもトップクラスの選手だしね。唯一言えることは、残ってくれて一緒にプレーできたらいい、ということ。俺だけじゃなく、投手、野手が彼にどれだけ助けられたか。

 もちろん、決断するのは大和自身。「どちらにせよ、こればっかりは本人が決めることだから。すっきりした答えを出してくれたら」。福留も07年オフにFAで海を渡った際は、自分の正直な思いに従った。その決断に口を挟むつもりは毛頭ない。ただ、主将として、一選手として抑えることが出来なかった思い。大和よ、残ってくれ-。福留の感情がほとばしった。【桝井聡】

 ◆FA申請 今季の有資格者は85人(国内FA権25人、海外FA権60人)。権利を行使するための申請期間は6日に始まり、14日に締め切る。申請選手は15日に公示され、16日から交渉解禁となる。獲得の際に生じる補償は選手が所属していた球団での年俸ランクで決まり、上位1~3位がA、4~10位がB、11位以下はC。A、Bには人的補償や金銭補償が発生する。大和はBランクとみられる。