「あつみ温泉大使」になってみせる-。巨人に育成4位で指名された羽黒・田中優大投手(18)が15日、山形・鶴岡市内のホテルで仮契約を行った。支度金200万円、年俸250万円(金額は推定)で合意し「早く1軍に上がって、地元に恩返ししたい」と意気込んだ。生まれ故郷の鶴岡市温海(旧温海町)は約1300年前に発見された温泉街で知られる。だが90年代を最後に観光客が減っている。将来支配下契約を勝ち取って1軍で活躍すれば、地元をPRできる。

 就任に意欲を見せるのには理由があった。父博邦さん(50)まで約100年以上は温海に住み、田中姓はわずか1世帯。羽黒での寮生活を選ばず、実家通いを今でも続けるほど、田中は地元を愛している。「活躍すれば、任命されると思う」と自信を見せた。

 原石だ。高2春から投手に転向し、わずか1年半で育成指名を受けた。横手とスリークオーターの中間から投げ込む直球は最速143キロ。183センチの長身ながら、まだ74キロの田中は「85キロまで増やしたい」と目標を口にした。体が完成すれば、大化けも期待できる。

 温海中軟式野球部出身の田中は「野球教室もやってみたい」と夢を語った。野球指導で泥だらけになった球児たちを、あつみ温泉に入浴させるという夢プランも不可能ではない。仮契約のこの日、日本で唯一、校内に自動車教習所がある羽黒で仮免許を取得。万全の状態でプロの世界に飛び込む。【高橋洋平】

 ◆田中優大(たなか・ゆうだい)1999年(平11)9月14日、鶴岡市(旧温海町)生まれ。温海小3年で野球を始め、温海中では軟式野球部に所属。羽黒では2年春に投手転向するまで外野手一筋。183センチ、74キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉、妹、祖父。