ユニホームに、初めて袖を通した少年のようだった。今季限りで楽天を退団した松井稼頭央外野手(42)の西武復帰会見が17日、埼玉・所沢市内の球団事務所で行われた。15年ぶりに背負う、なじみ深い背番号7。着る直前には高ぶる気持ちを抑えるかのように、右肩をさすった。「鳥肌が立ちました。FAで出て、また(西武の)ユニホームを着られると思っていなかった。感謝してもしきれない」と感慨を込めた。

 退路を断って現役続行の道を選んだ。「話がなければ引退かな、と。それくらいの気持ちを持って楽天さんにも伝えました」。楽天からはコーチ就任の打診があったが、自分の気持ちにうそはつけなかった。「現役は1度しかない。ここまできたら、とことんいきたい。野球が好きということに勝るものはない」。42歳の野球小僧の決断だった。

 ここからは勝負が始まる。兼任で、走攻守の技術を伝えるテクニカルコーチを務めるが軸足は当然、選手。「試合に出ることが一番のこだわり。チームから言われたポジションで出来るようにしたい」。競争は百も承知だ。「僕自身にとって、いい刺激になる。楽しみですよ、本当に」とニヤリと笑った。

 目指すのは、もちろん優勝だ。「その目標に向かう一員として、しっかりチームに入れるように」万全の体調でキャンプインする。頭には、それしかない。推定年俸4000万円の1年契約。「もう1度、小さい花でもいいので咲かせたい」。古巣で迎えるプロ25年目。西武時代には経験していない日本一へ、がむしゃらに突っ走る。【佐竹実】