来季プロ5年目、独り立ちの冬だ。広島大瀬良大地投手(26)が11日、年明けに3年続いていた前田健太投手(ドジャース)との合同トレに参加せず、新年は1人でトレーニングを続けることを明かした。先輩の元から離れ、先発の柱へと巣立っていく決意だ。この日はマツダスタジアムで自主トレを行い、年内はスタミナ強化と直球の球威向上のためウエートトレーニングと走り込みに重点を置く。

 九里とのキャッチボールを終えると、大瀬良は1人グラウンドに残った。独り占めした広いマツダスタジアムで、短距離走とポール間走をこなす。球場設備工事の音が聞こえる中、黙々と取り組み、肌寒い中でも自然と汗があふれた。

 「(来年は)すごく大事な1年になると思う。もっともっと自覚を持ってやっていかないといけない。強い気持ちがないと。どんどん若い子たちも出てきているので、しっかり自分を追い込んで成長していかないといけない」

 5年目のシーズンを前に、独り立ちを誓った。今年まで3年連続で1月の自主トレをともにした前田(ドジャース)からの来年1月の合同トレの誘いを初めて断った。「いつまでもマエケンさんに頼ってばかりじゃ、1つ上にいけない。そこで終わってしまうかなという思いも出てきた」。ともにプレーした2年間も含め、多くのことを学んだが、もっと変わろうという思いも湧いてきた。「マエケンさんに(広島投手陣を)託されているのに、なかなか思うように来ていない。頼るのではなく、しっかり自分というものを持って、1つ1つのものに取り組んでいくことで、また違った気持ち、思いが芽生えてくると思った」。今年1月の合同自主トレを全日程の半分にとどめたのは、自覚の表れだった。

 先発復帰した今年は3年ぶりに2桁勝利を挙げたが、規定投球回には届かず、安定感も欠いた。年内は筋力トレと走り込みを中心に、スタミナ強化と真っすぐの球威向上を図る。「強く、いいものにしていくために、これだけトレーニングもして走り込みもしている」。栄養管理も見直し、現在17%の体脂肪率を15%まで絞り込んでいく。

 来季こそ、広島先発陣の柱とならなければいけない。「すべての責任を自分で背負って、やっていく。そういう覚悟、行動が大事だと思う」。期待の大器がもがきながら、その殻を破ろうとしている。【前原淳】