今年の野球殿堂入りが15日、東京都内の野球殿堂博物館で発表され、競技者表彰のプレーヤー表彰として日米通算507本塁打を放った松井秀喜氏(43)らが選ばれた。

 松井氏は長打力で日米のファンを熱狂させた。2009年、米大リーグのワールドシリーズ第6戦は集大成の場となった。ヤンキースの主砲として先制2ランを放つと、シリーズタイ記録の1試合6打点。日本選手初のワールドシリーズMVPに輝き、相手のフィリーズのマニエル監督に「どこに投げても打たれた」と言わしめた。

 巨人、ヤンキースと日米の伝統球団で主軸を張り、スラッガーとしての実力を証明した。巨人での10年で通算332本塁打を放って本塁打王に3度輝き、03年のメジャー移籍後も04年に31本を放つなど5度の20本以上を記録。他にメジャーで20本以上打った日本選手はおらず、日本シリーズとワールドシリーズの両方でMVPに輝いたのも松井氏だけだ。史上最年少、候補1年目での殿堂入りにふさわしい功績を残した。

 早くから長打力は脚光を浴びた。石川・星稜高時代の1992年、夏の甲子園大会。高知・明徳義塾高との2回戦で受けた5打席連続敬遠は社会現象となった。

 長嶋茂雄氏との二人三脚で才能が開花した。92年のドラフト会議で1位指名が重複する中で、長嶋監督がくじを引き当て、師弟関係が始まった。監督の自宅や遠征先のホテルで昼夜を問わず、バットを振った。4年目に38本塁打を放つと、日本での最終年となった2002年には史上8人目のシーズン50本塁打を達成した。

 師弟でつくり上げた打撃で米国のファンも総立ちにさせた。松井氏は現役の一番の思い出を「長嶋監督と素振りした時間」と振り返る。13年に長嶋氏とともに国民栄誉賞を受賞。今年、米国でも日本選手の野手として初めて殿堂入り候補に入った。