球界の功労者をたたえる野球殿堂入りが15日、都内の野球殿堂博物館で発表された。

 東海地区の野球への多大な貢献が認められ、瀧氏が特別表彰された。中京商(現中京大中京)では選手で2度、指導者として2度甲子園で優勝。中京大の監督としても愛知大学リーグで28度優勝し、70年に東海地区で初めて全日本大学選手権優勝を果たした。長男の克己氏(68=中京大教授)はスピーチで「野球が大好きで他の趣味はなかった。お父さんは幸せな人生だった」と声を詰まらせた。

 最期まで野球一筋だった。戦争で結核を患い、片肺を失った。82歳ごろからは酸素ボンベ持参で高校から大学、社会人、プロと幅広く教え子を見守った。亡くなる数日前も和歌山まで合同合宿に出かけ、死の数時間前もセンバツ準決勝を見届けた。教え子の大藤敏行中京大中京前監督は「相手に先に点をやらなければ野球は負けないと、半世紀以上前からデータを使っていた。ユニホームを着ている時は厳しいが、脱ぐと1人1人を尊重してくれた」としのんだ。【斎藤直樹】