守護神争いへ-。広島今村猛投手(26)が22日、合同自主トレに合流した。プロ9年目の今年は初の海外始動となるハワイ自主トレでスタートを切った。プロゴルファーらと異種競技トレで新たな発見もあった。温暖な地でシーズンへの下地をつくった右腕が、中崎翔太投手(25)らが争う抑えの座を貪欲に狙っていく。

 日焼けした表情は、引き締まったように見える。ハワイ自主トレから帰国した今村が、広島での合同自主トレに合流。久しぶりに再会したチームメートとともにキャッチボールやノックなどで汗を流し、キャンプ前の調整を再スタートさせた。

 9年目のシーズンを前に何かを変えたかった。9日から20日まで、自身初の海外始動。現役プロゴルファーとそのトレーナーらとともに合同トレを実現させた。「違うスポーツの方と、違う方向から見た野球に大事な動きを知ることができれば、と思った。細かな動きを意識し、野球に似た動きもあった」。異種競技からのアプローチを学ぶとともに、野球との共通点もあった。「ゴルフもシーズンが長く、2、3日連続で体を使う。無駄な動きをなくさなければベストパフォーマンスはできない」。ゴルフスイングのインパクトと投球のリリースにも類似点を感じた。

 昨年末までは68試合に登板したシーズンの疲労を取るため体のケアに重点を置いたが、温暖な環境が自然と体を動かした。調整のギアを上げる、実りある合同トレとなった。

 2年連続60試合以上登板も、やり残したことがある。昨季途中まで自身初のシーズン70試合登板に到達するペースで投げ続けながら、シーズン終盤に登板機会が減り、わずか2試合届かなかった。中継ぎとして投げ続ける右腕にとって、登板数は大きなモチベーション。「70試合が見えたらチャレンジしたい。防御率は大事。打たれれば信頼がなくなる。それが試合数にもつながる」。今季防御率2・38の良化が、シーズン70試合登板の鍵となる。

 もちろん、昨季チーム最多23セーブを挙げた抑えのポジションも譲るつもりはない。「できればやりたい」。守護神争いへ、好スタートを切った。【前原淳】