5分で「中日松坂」が誕生した。昨季限りでソフトバンクを退団した松坂大輔投手(37)が23日、中日の入団テストをナゴヤ球場の室内練習場で受け、約5分、22球で合格した。

 中日森監督はソフトバンクで苦しんだ松坂に「(現役続行の)道を私が作ってもいいのかなと感じた。そういう気持ちにさせた何かがあいつにはある」と力を込めた。

 この数年間で名声を失っていたとはいえ、球史に残る名選手に入団テストの形をとったのは、アンチへの風当たりを和らげる意味合いもあった。複数の選手が歓迎する一方で、3年間低迷を続けた松坂獲得への反発はいまだ、球団内やファンの間にある。

 「1歳でも若い選手がほしい」と森監督自らが掲げてきた大幅若返りの方針に逆行するからだ。中日には有望な若手投手が多い。未来につながる1枠を、1つたりとも奪ってほしくない。記者は切実な声を聞いてきた。

 だが、これは球団内で誰よりも責任を背負う監督の決断だ。批判は承知の上。今の松坂なら批判の声も封じ込められる、絶対にチームのプラスになる。西武時代から知る森監督や友利編成担当は強く信じている。

 「言わなくてもあいつの気持ちは分かる。やり尽くすまでここでやってみればいい。全部見せて、言葉で、体で、後ろ姿でいろんなものを若い選手に教えてほしい」。ただの情実人事ではない。森監督は職をかける覚悟を持って、松坂を迎え入れた。【柏原誠】