日本ハム平沼翔太内野手(20)が、インパクト満点の一撃を放った。9回2死、フルカウントでの7球目。内角高め142キロ直球を体を回転させて、振り切った。見上げた先、右翼席に放り込むソロ。「フェンスが高いので、ボクで入るかな…と思ったんですけど、ちょっと自信になりました」。ヤクルト・バレンティン、広島メヒア、チームメート森山に並ぶオープン戦2号で、猛アピールをかけた。

 3年目の今季は、自らに定位置奪取を厳命。ルーキーイヤーから定めていた「節目」の3年目から勝負と決めていた。「今年はレギュラー争いに加わっていかなといけない」。敦賀気比ではエース兼4番でセンバツ優勝。頂点を極めた高校時代を経て、プロでは野手挑戦に取り組んできた。

 昨季、右肩痛を発症し、ノースロー調整を余儀なくされた。「体は元気なんですけどね…」と悔しさを胸に、打撃向上を徹底。今年1月の自主トレは近藤に師事し、鹿児島・徳之島へ。時には両足をつりながらロングティーに励むなど、磨き上げてきた打力が、結果につながり始めている。

 堅実な守備が売りの中島、石井一ら内野陣で、流れを変えられる1発があるのは魅力だ。栗山監督は「いろんな課題を持っているけど、それをどうやってつぶしていくか」と、さらなる進化を期待した。三塁守備では8回、送球が乱れる失策を犯した平沼は「それが結果につながった」。汚名返上の打撃に「状態は良いです。手応え、あります」。開幕まで突き進む。【田中彩友美】