中日荒木雅博内野手(40)が新たな金字塔に挑戦する。阪神戦に先発出場して2打数2安打。二塁のレギュラー争いは高橋がリードするが、守備走塁で勝る荒木も候補に残る。30日の広島戦(マツダスタジアム)でスタメンを射止めれば、セ・リーグ史上最年長での開幕二塁になる。

 測ったように野手の間に打球が飛んだ。左腕岩貞から2回に右翼線に落とし、4回は一、二塁間を抜いた。2回は一塁への出塁後、大島の当たりは一塁へ。ロサリオの二塁送球がそれ、中堅方向に転がったのを見るとすぐに立ち上がり、三塁まで走った。「あれは反応」と瞬発的に動いた。40歳とは思えない軽やかさだった。

 オープン戦は6打数3安打。「やっと試合に出られる状態になったところ。まだ打球判断とかは思い通りじゃない。体が張ってる中でやっているので。これから上げていきますよ」。プロ23度目の開幕を2週間後に控え、状態は上向きだ。

 走塁や守備に加え、昨年2000安打を達成した打撃も進化を目指している。群を抜く経験と機動力を重視すれば、荒木の選択肢も浮上する。「開幕とか、そういうのはもういいよ。でも、野球選手である以上、気持ちのどこかにはあるけどね。まあ頑張りますよ」

 過去、セ・リーグで40歳以上の選手が開幕戦に「二塁」で先発した例はない。1951年(昭26)に名二塁手、苅田久徳(近鉄)が41歳2カ月で先発したのがプロ野球最年長記録。脚力が問われる二塁で、40歳がレギュラー争いしている事実自体が驚きだ。

 今季からコーチ兼任。16日には岩瀬とともにコーチ登録を抹消された。公式戦ではコーチのベンチ入り枠に制限(8枠)があるため、開幕前に外れるのは予定通り。役割は変わらず、チーム内での肩書も兼任のままだが「気持ちが楽になったよ」と笑った。肩書に違和感が残るほど、荒木は現役バリバリだ。【柏原誠】

 ▼荒木が今季の開幕戦に二塁手として先発すれば、40歳6カ月での出場となり、セ・リーグ史上最年長となる。パ・リーグには40歳代での開幕スタメン二塁が過去2人。51年苅田久徳(近鉄)41歳2カ月と、68年ロイ(近鉄)40歳3カ月の例がある。